【ゆるパブコラム】料金額は客が決める、接骨院の挑戦

そして大切なことが3つ目です。メンテナンスが一番必要な人に届けたいという思いです。経済的な理由や家庭的な環境などでメンテナンスに費用をかけられない、優先順位が低い人でも気軽に来てもらえるようにしたかったんです。そしてその思いが届いた事例がありました。ある日、院のチャイムがなり外に出てみると「財布に500円しかないんですが・・」という方がいらっしゃいました。もちろん投げ銭制で1円以上なのでオッケーするととても喜んでくれました。2回目。次は財布の小銭入れに入っていたお金をすべて僕にくれたんです。いろんな事情があってその金額で施術を受けていましたが、ある日3000円をくれた日がありました。「ここに来ることでなにか前向きになれて、不動産が売れたんです」と元気になり仕事でもうまくいったそうです。

■助け合いが起きる現実

定額制にしていたころ、こんなストーリーは生まれませんでした。投げ銭制にして生まれた新たなストーリー。それは“知らない間に助け合いが起きていたこと”です。

実は金額的な月の平均値はあまり変わらないんです。でも、多く払う人もいれば少なく払う人もいる。要するに、多く払える人が払えない人を助けてくれるんですね。寄付や募金と一緒。そして僕の生活ができれば一石三鳥です。皆が笑顔になれる。

その輪が広がれば広がるだけ、皆が元気になれることに気づいたんです。

そんなストーリーが生まれた投げ銭制の院で、もう一つ気づいたことがありました。

■負のスパイラルを引き起こすメンテナンスの優先度

実は、メンテナンスに時間と費用をかける人とそうでない人にはそれぞれ特徴があります。

メンテナンスに時間と費用をかける人は、経済的に余裕がある、体と心の良い状態への優先度が高いなどと合わせて、「元気で健康な人が多い」という傾向があります。

反対に、あまりメンテナンスに費用と時間をかけない人は(もちろんそもそも健康だからという人もいますが)、経済的な理由や優先順位が低いことに合わせて「体と心が良い状態にない人が多い」のです。ここで疑問が湧きます。本来なら「不健康だからメンテナンス」というのが一般的に思えるのですがそうではなく、逆転現象が起きている。

「健康で前向きな人」ほどメンテナンスに気を遣い、「不健康で後ろ向きな人」ほどメンテナンスの優先度が低かったんです。合わせて、かける費用に関しても「健康で前向きな人」ほどメンテナンスの価値を高く感じていたのです。

不思議だなぁという感覚の中、その現象に納得のいく事実が発覚しました。

その事実が書いてあったのが脳科学者・中野信子さんの『シャーデンフロイデ』(幻冬舎新書)という本です。

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