【論説】週が明けると本格的に学校が再開する。心配されるのが、不安定になりがちな子どもたちの気持ちと行動である。統計では毎年、夏休みの終わる頃から9月初めにかけて自殺が急増する。こんな悲しい傾向は断ち切らなければならない。

 みんなと同じであることを求める「同調圧力」の強いのが日本社会だ。学校生活も例外でなく、子どもにとって強いストレスになっているのは明らかだろう。いじめや人間関係、成績など原因はそれぞれにしても、人知れず悩んだ末に命を絶ってしまう。

 悲劇はなぜ繰り返されてきたのか。

 死ぬぐらいなら学校に行かなくてもいい、と大人は言う。だが本音はどうか。学校に行くのは当たり前、といった言動を示してこなかったか。

 子どもたちは敏感だ。親や先生ら大人の期待を察し、誰にも苦しみを言えないまま自身を追い詰めてしまうのではないか。だとすれば「学校が全て」の考え方を変える必要がある。

 注目すべきなのは、不登校の子どもたちへの対応を巡り、国が方針を切り替えたことである。従来は一人一人の状況にかかわらず学校へ戻すことを目標としていた。これを改め、個々の状況をまず考慮する。学校への復帰を必ずしも求めないのである。

 根拠は2016年12月に成立した「教育機会確保法」で、法に基づく国の方針転換を「歴史的」と高く評価する関係者もいる。だが周知が足りない。文部科学省は学校現場や関係機関を通じ、家庭などへ積極的に浸透を図るべきである。

 学校に行くことにこだわらない大人の姿勢は、不登校以外の子の気持ちも楽にする。ほかに道があると知れば、死を選ぶまでもないからだ。

 日本では以前、年間3万人以上が自殺し、対策が進んだ。警察庁によると、昨年の自殺者数は2万1321人で8年連続で減ったが、残念なことに未成年者は前年より増えて567人だった。

 子どもの生きづらさが強まっていないかと目配りし、全力で命を守るのは大人の責任である。

 どうすればいいか。一つのヒントは会員制交流サイト(SNS)だ。無料通信アプリLINE(ライン)によるいじめ相談が各地に広がる。

 いじめにも使われるSNSにはこんな使い方もあると知らせたい。相談電話はなかなかつながらないが、LINEなら気軽に相談できる。もっと増やしたい。

 さらに必要なのは、子どもを見て声を掛けてくれる大人の存在だ。一人でいい。苦しい思いを打ち明けられる大人がいれば、命は救われる。

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