(C)UPSIDE DISTRIBUTION, IMP. BLUEMIND, 2017

 1960年代の軍事独裁政権下のブラジルで、自由と権利を主張し、女装をしてショーをしていたドラァグクイーンたち。ライブで歌ったり、リップシンクをしたり、踊ったり、スタンダップコメディをしたり。当時リオ・デ・ジャネイロのヒバル・シアターで活躍した8人のクイーンたちがデビュー50周年を記念して再結集し、ライブを敢行する姿を追ったドキュメンタリー。監督は、ブラジルの人気女優でもあるレアンドラ・レアル。当時ナイトクラブのオーナーの孫娘であり、ゲイの両親に育てられたという監督が、深い愛情とリスペクトいっぱいに彼らの姿を映し出します。

 久しぶりに舞台に立つドラァグクイーンたちが、ダンスの練習で悪戦苦闘する姿はもちろん、彼らの口から語られるそれぞれの人生模様がとてつもなく面白い。革命的なショーを作り出したカリスマや、90歳でもなお現役として活躍している人、交通事故にあってなお舞台に立ち続けた人、全員の人生が刺激的で、いつまでも聞いていたくなるほど。中でも1967年に出会って以来、多くの偏見や差別を受けながらも46年間愛を育み続けたカップルのストーリーはとてもとても美しくて感動的です。

 60年代の貴重な写真と映像を交えて描く本作ですが、現代の彼女たちは当時よりもっと美しい。なんでこんなにも美しいのか、考え続けた答えは、映画の中にありました。悲劇を乗り越えながらも、強く、たくましく、前を向いて生きてきた彼女たちの強さと誇りが、こんなにも美しくさせてきた。「生産性がない」「同性愛は趣味」などの発言が問題となっている現代だからこそ、自分の性に真っ正面から向き合って、自分の生を全うする彼らの人生を観て欲しいです。★★★★★(森田真帆)

9月1日(土)から全国順次公開

監督:レアンドラ・レアル

出演:ブリジッチ・ディ・ブジオス、マルケザ、ジャネ・ディ・カストロ、カミレK

関連記事