腹腔鏡による肝臓の手術の様子=福井県福井市の県立病院

 開腹手術に比べて傷が小さくて済み、患者の負担が少ない腹腔鏡手術。近年、肝臓、膵臓に対する公的保険適用となる術式の範囲が拡大し、両臓器の腹腔鏡手術が普及、福井県内のがん診療連携拠点病院でも本格的な導入が進んでいる。

 腹腔鏡手術は、1~3センチほどの切り込みを数カ所開け、カメラや手術器具を差し込み、モニターの画面に患部を映しながら行う。胃や大腸では腹腔鏡による手術が半数以上を占めるが、無数の血管が内部に走り、肋骨に囲まれている肝臓や、胃の裏側にあり、周囲に大きな血管が走っている膵臓は開腹手術が中心となってきた。腹腔鏡技術の進歩によって2016年までにほとんどの肝切除手術に保険が適用され、また膵臓についても対象の術式が広がったことで腹腔鏡での手術に注目が集まるようになった。

 福井県立病院(福井市)では、11年以降から肝臓、膵臓の腹腔鏡手術に取り組んでいる。現在は、肝切除の3分の1、膵切除の4分の1~5分の1が腹腔鏡による手術。特に肝臓は大きめの病変に対しても症例を見極めながら積極的に用い、県内最多ペースの肝切除約100例、膵切除約20例の実績を重ねている。肝臓の腹腔鏡手術はほぼ全例ががん、膵臓はがん以外の病変が多いという。

 外科の前田一也医長は「開腹か腹腔鏡かは、腫瘍の位置など症例ごとに綿密に検討する」とした上で、「50~60センチを開腹する手術に比べて腹腔鏡は術後の翌日からの“元気さ”が違う。回復の早い腹腔鏡を可能な限り選択肢に入れている」と語る。合併症のリスクは開腹とほぼ同等で、最初は開腹だったが、2回目の手術は腹腔鏡で行うという患者もいる。

 また、同病院では4月からハイブリッド手術室の運用が始まり、同手術室の血管造影装置を併用することで、さらに正確な手術が可能になっている。前田医長は「保険適用拡大によって、今後はより腹腔鏡手術が行われるようになるだろう」と話している。

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