8月20日、車が出入りする山口組総本部=神戸市

 国内最大の指定暴力団山口組が分裂して8月27日で3年。三つの指定暴力団に割れ、互いに組員の切り崩しが続いている。抗争事件は減少したものの、対立の構図は流動的な状況だ。警察当局は組事務所の使用を禁じるための司法手続きを働き掛けるなど、組織弱体化に向けた締め付けを強める。

 「山口組が緊急会合で、離脱した任侠山口組の受け入れを決めるのでは」。今月20日、山口組総本部(神戸市灘区)に最高幹部らが乗ったとみられる車が次々と入った。臆測が駆け巡り、兵庫県警は情報収集に追われた。今月が一つの区切りとみられていたからだ。

 任侠山口組は昨年4月、山口組から分裂した神戸山口組をさらに離脱した組織。県警幹部は「20日の会合は、9月の大規模な定例会合の事前協議だった可能性が高い」として、受け入れの事実はなく、敵対組織を揺さぶる動きだったとの見方を強めている。

 捜査関係者によると、山口組はかねて離脱した組員の復帰を容認すると公言。一方、分裂した神戸山口組が今春、新たに幹部を増やすなど体制を刷新した。すると、同じタイミングで山口組は離脱者の受け入れを今年8月までに区切った。

 捜査幹部は「期限の設定は、神戸側が新体制に移行する時期を突き、組員に切り崩しの活発化を促す狙いだ」と推測。山口組は、服役中のナンバー2が来秋に出所するのを節目として体制強化に動いていると読み解く。

 兵庫県内には3組織の本拠地がある。県警は、県の外郭団体である暴力団追放兵庫県民センターを通じ、本部事務所を使えなくする司法手続きを支援している。センターは昨年以降、神戸山口組と任侠山口組に対して本部の使用を禁じる仮処分を神戸地裁に申し立て、神戸山口組については既に認められた。

 センターの弁護士は「分裂抗争で差し止めが認められやすい状況。警察と連携し、組事務所の撤去も進めたい」と目的を説明する。

 警察庁によると、分裂から今月20日までに3組織の関係者が絡む抗争とみられる事件は計112件発生。立件された人数は延べ421人に上った。

 福井県内では2016年2月、敦賀市本町1丁目の神戸山口組系正木組の事務所に銃弾が撃ち込まれ、実行犯の山口組系の組員が現行犯逮捕された。さらに発砲を指示したとして福井市有楽町にある山口組系宮原組の組長が逮捕され、ともに実刑判決を受けた。福井地裁は昨年10月、正木組事務所と宮原組事務所について、暴力団事務所としての使用を禁止する仮処分を決定し、現在も使用禁止が続いている。

 昨年9月には神戸市長田区で任侠山口組関係者が射殺され、神戸系の組員が殺人容疑で指名手配される事件が起きた。捜査幹部は「暴力団員の数が過去最少を更新する中で限られた組員や資金を奪い合い、衝突が激化してもおかしくない」と警戒を強めている。

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