【論説】文部科学省が先日発表した国公私立の小中高校や幼稚園など全国5万校余のブロック塀の点検結果では、安全性に問題のある2500校以上で、撤去や周辺への立ち入り禁止措置といった対策が講じられていなかった。未対策の所では夏休み明けまでに早急に手を打つよう求めたい。

 懸念されるのは、学校敷地以外の民家など民間のブロック塀が手つかずになっていること。これでは子どもたちの安全が確保されたとは到底言えない。文科省と国土交通省が連携し、撤去や補修への補助を拡充していくべきだろう。

 文科省の緊急点検は6月18日の大阪府北部地震で小学校のブロック塀が倒れ、小4女児が下敷きになり亡くなったことを受けて初めて実施された。地震によるブロック塀倒壊の危険性はこれまで何度も指摘されてきた。1978年の宮城沖地震では18人が犠牲になった。2016年の熊本地震でも益城町で塀の7割弱が倒壊。震度6強の首都圏直下型地震が発生すれば、塀倒壊などで死者が千人に達するとの試算もある。

 そうした経緯があるにもかかわらず、国や自治体の対応は遅きに失したと言わざるを得ない。地震対策では校舎の耐震強化を優先し、ブロック塀は後手に回ったきたとされるが、ここは本腰を入れるべきだ。内部の鉄筋の状態を確認するなど徹底した調査と対策を講じる必要がある。

 緊急点検では1万2600校余で安全性に問題があった。その8割で撤去などの措置が取られ、残る2割は未対策で、963校が点検中か未報告だったというから、その後の取り組みを急ぎチェックすべきだ。

 大阪府で犠牲者を出した小学校の塀は2メートル弱の基礎上にブロックが8段も積んであり、高さは約3メートルにも及んでいた。建築基準法では塀を補強する「控え壁」の設置が義務付けられる高さだが、未設置だった。専門家から危険性を指摘されながら、簡単な点検で問題なしとしていた。自治体、学校双方の認識不足が招いた悲劇だが、教訓を全国で生かすことが肝要だ。

 文科省は来年度予算の概算要求案で公立小中学校の危険ブロック塀に関して改修費用を盛り込み、解消を目指す方針という。一方、民間のブロック塀については、国交省が自治体を通じて安全確認を要請したのにとどまっている。「管理責任は所有者にある」のは理解できるが、通学路の危険性は学校敷地も民間も同じであり、補助金などの予算措置を取るよう求めたい。

 そうした中、福井市教委は民間塀の点検に積極的に取り組んでいる。所有者に修繕や撤去、張り紙などの注意表示を依頼し、場合によっては学校に通学路の見直しを指示するという。他市町も見習うべきだろう。

 ブロック塀だけでなく、看板や建物の外壁、ガラス窓など通学路の周辺には、子どもたちの命を脅かす危険が隣り合わせとの認識を改めて持ちたい。自治体や学校、保護者、地域が一体となって守る以外にない。

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