世界卓球団体の男子1次リーグのベルギー戦でプレーする張本智和=ハルムスタード(共同)

 卓球男子の張本智和(エリートアカデミー)を取材していると、つい言ってしまう言葉がある。「背、また伸びた?」

 6月で15歳になった全日本王者に失礼は承知の上だ。完全に親戚のおじさん目線なのは許してもらいたい。

 本人いわく、現在身長174センチ。筆者は181センチだが、横に並んでも、もはや目線がほとんど変わらない。

 初めて取材したのは2015年1月の全日本選手権で、当時小学5年だった張本の身長は取材メモを見返すと155センチとある。

 この3年半で約20センチ。少年の成長は早いと、身をもって実感させられている。

 身長の伸びはそろそろブレーキがかかるかもしれないが、卓球の実力は天井知らず。特に今年に入ってからの充実ぶりは、取材する側の想像を裏切り続けている。

 1月の全日本選手権で水谷隼(木下グループ)を破って史上最年少で日本一に輝いたのが始まりだった。

 4月のアジア・カップで世界ランキング1位の樊振東から勝利。6月のジャパン・オープンで、リオデジャネイロ五輪金メダリストで世界選手権個人戦2連覇中の王者、馬竜を撃破した頃には、「張本なら当然だろう」と思うようになっていた。

 最強の中国選手たちを破ることさえ、「快挙」と表現するにはもはや違和感がある。

 どうして15歳の少年が勝てるのか? 彼の試合を取材するたびに頭の片隅でこの疑問が浮上していたので、先日インタビューした際に、思い切って「なぜ強いのか、なぜできるのか」と率直に聞いてみた。

 彼の答えは明快だった。「技術力が高ければ、どんな場面でもしっかりコントロールできる。そこは練習量と、それができるんだというメンタルの二つが重要かなと思う」

 ドライにも感じる技術と練習への信頼の言葉に、強さの一端をのぞいた気がした。

 朝6時起床で練習してから通学し、代表合宿中は30分以上早く練習場に入ってトレーニングを開始する。

 特に、日本男子の倉嶋洋介監督が「世界一」と評するバックハンドについては「他の人より必死に取り組んできた思いはある」と絶対の自信を持つ。

 ジャパン・オープンの馬竜戦も、10―6のマッチポイントで最も信頼するバックハンドを選択。レシーブから左右に2球打ち分けて勝利をつかんだ。

 張本を語る上でバックハンドとともに有名なのが、得点ごとの大きな叫び声だろう。だが、実は中学生になってから少し控えめになっていることも知っておいていただきたい。

 普段は照れ屋で、話し声も大きい方ではない。夏場の楽しみは練習後に食べるバニラアイス。故郷仙台を大切にし、同郷のお笑い芸人サンドウィッチマンとプロ野球楽天のファンでもある。

 就寝前には仙台で暮らす母への電話を欠かさない。コートを離れての素朴なところも、最年少全日本王者の魅力の一つだ。

 東京五輪まで2年を切った。彼自身が「一番チャンスがある」と期待する大会で、さらに体がたくましくなった17歳の張本はどんなプレーを見せてくれるだろう。

 もっと言えば、どの色のメダルを手にしているだろうか。金メダルは夢ではない。このコラムを備忘録として、2年後に再び読み返したい。

小海 雅史(こかい・まさし)プロフィル

2005年共同通信入社。06年から福岡運動部でプロ野球ソフトバンク、11年から本社運動部でヤクルト、巨人を担当した。15年からは卓球やラグビーなどを取材し、15年ラグビーW杯、16年リオ五輪をカバー。東京都出身。

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