人類の幸せのために、医学の研究に没頭し、あるいは、一人のいのちのため全身全霊を打ち込むのもいい。だが、医学は人間のいのちのためにあるのだから、それを脅かすすべてのものに、医師たるものは立ち向かわねばならない。ある時は、伝染性疾患に、ある時は交通戦争に、ある時は環境を破壊し、いのちを脅かすすべての公害に、そして最もいまわしい人間同士の殺し合いに対しては、人類の敵として立ち向かわねばならない。

 専門に分化してしまった医学界にそれを期待することは出来ない。日本で唯一の、専門を超えた医師学術団体である日本医師会こそ、その使命がある。何はさておき、いのちを守る先頭に立ってこそ、医師は国民の信頼を勝ちうるのである。官僚や政治家と経済戦争のみに明け暮れておったのでは、国民の信頼と支持を得ることは不可能である。――と。

 今日の世界が毎日のように一喜一憂する重い社会テーマ―でもある核や戦争の問題にまで医師として言及しておられるのです。(まさに、この項目の文章を写している時、終戦記念日のサイレンが鳴りわたり、急いで黙とうを捧げました。今日は8月15日でした。何か共時性を感じました)

 いつも思うのですが、この世の私たちの感覚で捉えられる世界や捉えられない世界において、今の時点ではこれ以上のことを知りたくてもそれは知り得ないことだと思えるようなことにおいても、さらにその上をいく世界での体験者がおられて、こんなことまでもがと目を見張るようなことまでも本や人との出会いで知らされるのです。

 30年前とは言っても今にも十分通ずると思える「医・食・農」のそれぞれの世界の実際の在りように対する‘歯に衣着せぬ’文章と、それらの世界のつながりの必要性を自らの実践を通して書かれたこの本との出会いもまさにそうした出会いの本でした。他にもう一冊、『自然農から 農を超えて』(川口 由一)の本も一緒に本棚にありました。関心のある方は、両氏についてさらにネットで検索してみてください。

◆天神様とは?

 孫の誕生の贈り物として福井に伝わる天神様を贈るという風習に対しての疑問から始まったコラムです。

 物事の判断において個々の意識の在りようが最重視されるという意識魂の時代といわれる今の時代において、これまでの既成のルールに則ってことを進めたり、そのような学問を重視する意識は悟性魂といわれているというのですが、その「学問の神様」として崇められている菅原道真公の「天神様」を贈ることが今の時代に育つ子にとってはたしてふさわしいのだろうかという疑問でした。

 では天神様とは一体どういう神様なのでしょうか。振出しに戻って、「天神様とは?」について新たな思いで学んでいきたいと思います。

 ずっと以前に、共にシュタイナーの思想を学んでおられた知人が、すでに天神様について詳しくその紀要や、講演録で書いて下さっていました。そしてそれらを『民話、叡智の宇宙―てんは みずから たすくるものを たすく―』(金井朋子 今日の話題社)として一冊の本として出版されました。

 ―その本の読み解きの講演録―桃太郎の昔話と通りゃんせのわらべ歌に秘められた叡智―から引用、参照させていただきますと

 ――天神様というのは、皆様もよく御存知ように菅原道真のことですが、更に「天神とは天満自在天人のことであり、神代には、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)という宇宙の中心を司る神 宇宙を主催する始原、初発の神のことである。」といわれています。そして時代を経ると「宇宙の星晨(ほしぼし)の中心である北極星を神格化した存在である。」という北辰信仰につながって参ります。

 天之御中主(あめのみなかぬしのかみ)、高皇産霊神(たかみむすびのかみ・日を司る神、陽神、)神皇産霊(かんむすびのかみ・水を司る神、陰神)の三神を合わせて妙見社に祭祀するようになるのです。

 そして 平安時代の十世紀末の頃になると 先程、少し触れましたように御霊信仰と結びつき、祟神(たたりがみ)、鬼神 雷神として恐れられていた菅原道真公の御霊(みたま)を天満宮や天神社に祭祀するようになってまいります。・・・・・・

 更に 興味深いことには、「天神様とは、天之御中主神(あめのみなかぬし)であるばかりか、仏教においては大日如来さまである」ということも分かって参ります。

 1980年の初め、人智学者の高橋巌先生に 雷についてお尋ねした時、「ミカとは、雷の事、エルとは神を表す言(ことば)であり、ミカエルとは、雷神のことです。」とお教え頂き、目の鱗が落ちたようになりました。つまり、天神様というのは、雷神でもあり、同時に西洋のR・シュタイナーが時代を導く霊だと言っている大天使ミカエルの事でもあるという事が分かったのです。

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