福井県立大学大学院古生物学コースの指導教員(右の2人)から恐竜化石について教わる1期生の院生たち=8月5日、福井県永平寺町の同大永平寺キャンパス

 福井県立大学大学院に恐竜をメインに学ぶ古生物学コースが本年度新設され、1期生の院生3人がテーマを決めて研究に励んでいる。恐竜の研究者になる夢を追って教員を休職したり、大学院を入り直したりした20代の若者たちは「好きな恐竜を学べて楽しくて仕方ない」と口をそろえる。県立恐竜博物館(福井県勝山市)が収集した化石標本を研究材料にするなど「恐竜王国福井」で充実の日々を送っている。

 古生物学コースは大学院生物資源学研究科の専門種目で、指導教官は恐竜学研究所の東洋一特任教授(69)ら4人が務める。永平寺町のキャンパスの研究室には、化石用のコンピューター断層撮影装置(CT)や、撮影した画像を立体的に再現するコンピューターソフト、化石を画面上で計測できるデジタル顕微鏡などを備えている。

 1期生3人は前期、午前中に生物資源学の講義を受け、午後は恐竜に関する英語の論文を読んだり、機器の使い方を練習したり、恐竜博物館で研究に使う化石標本を整理したりして、論文作成に向けた基礎を学んできた。

 大阪府箕面市の公立中学校で理科を教えていた堀口直人さん(29)は、生徒に進路指導する際に「先生は戻れるのなら恐竜の研究者になりたい」とぽろりと本音を漏らし「やりたいことに挑戦しろと生徒に言っている自分が挑戦していない」と気付いた。思い切って2年間休職して入学、幼稚園のころから大好きだった恐竜のうち、恐竜博物館が収集したアロサウルスの化石標本を分類学的に研究する。「大学院での学びを理科の授業に生かしたい」と意気込む。

 大型草食恐竜「丹波竜」の化石が見つかった兵庫県丹波市出身の坂上莉奈さん(23)は、中学生のころ発掘者の講演を聴いて恐竜に関心を抱いた。福井県立大生物資源学部から大学院生物資源学研究科の分子機能科学コースに進み、微生物から医薬品をつくる研究をしていたが、古生物学コースの新設を知り「一番学びたかったのは恐竜」と再入学した。恐竜博物館にある角竜類の化石標本から脳を解析する研究に生物学の視点を取り入れ「研究者として生き残れる分野を見つけられたら博士を目指したい」と話す。

 幼稚園のころから恐竜が好きで、早稲田大教育学部理学科で古生物学を学んだ小布施彰太さん(25)=長野市出身=は「日本で恐竜といえば福井」と話す。その福井で大学院の新設を知って進学、勝山で発掘されたワニの化石を分類する。ワニは恐竜に一番近く、恐竜を学ぶ基礎になり「博士号を取って研究者になるのが一番の夢」と語る。

 指導教員の1人、河部壮一郎准教授(32)は「3人とも研究意欲が高くセンスもある」と評価する。恐竜博物館の特別館長を務める東特任教授は「博物館にある化石標本を大学院で研究し、成果を博物館で展示する。福井の総合力を生かした、福井にしかできない研究をしていきたい」と話している。

関連記事