全米プロゴルフ選手権の最終ラウンド、18番でバーディーパットを決め、ガッツポーズするタイガー・ウッズ。通算14アンダーで2位=ベルリーブCC(共同)

 スーパースターの完全復活はもう目の前だ。

 男子ゴルフのタイガー・ウッズ(米国)が、8月12日に最終日を迎えたメジャー最終戦の全米プロ選手権で2位に入った。

 優勝したブルックス・ケプカ(米国)には2打及ばなかったが、スーパーショットを連発して最後まで優勝争いを演じた姿にギャラリーは熱狂。日本でもテレビの前で、42歳の一挙手一投足に興奮したファンは多かったことだろう。

 本格的にツアーに復帰した今季は1月の試合から好プレーを見せ、7月の全英オープン選手権では“サンデーバックナイン”で一時は単独首位に立った。

 さらに今回の活躍。「メジャーで2度も優勝争いをできるとは想像もしなかった」と、かつてどん底まで落ちた姿はもう見られない。

 米ツアー通算79勝、メジャーでの優勝は14度と圧倒的な成績を残してきたウッズだが、ここ10年近くは苦しい日々を過ごしてきた。

 2009年の個人的なスキャンダルに始まり、腰痛にも悩まされて4度も手術を受けた。

 昨年5月にはアルコールと薬物の影響下で車を運転したとして逮捕された。

 最後の米ツアー優勝は2013年の世界選手権シリーズ、ブリヂストン招待で、メジャー優勝となると2008年の全米オープン選手権にまでさかのぼらなければならない。

 一時期は限界説もささやかれるほどのところまで追い込まれていただけに「この1年でここまで戻って来られるとは」と自身も驚いている。

 押しも押されもせぬ第一人者の復活には、世界のゴルフ界が大きな期待を寄せる。

 日本の男子ツアーの人気低下(女子ツアーは世界でも異例といえる盛況ぶりだが)、ゴルフ人口の減少が叫ばれて久しく、世界でも同様に状況は厳しい。

 契約していたウッズの低迷もあってナイキがクラブやボール作りから撤退し、アディダスは有名ブランドの「テーラーメイド」を売却した。

 大手スポーツメーカー2社の下した判断は、低迷する業界を象徴するものとなった。

 それに少しでも歯止めをかけようとしているのが最高峰のレベルを誇る米ツアーだ。

 今季まではシーズン最終戦のツアー選手権は9月下旬に行われるが、来季からは8月下旬に変更になった。

 これまでは佳境を迎えたシーズン終盤の試合が、人気の高いプロフットボールNFLの開幕と重なってしまい、注目度がどうしても下がってしまっていた。

 来季からは日程が重ならないように、9月を前にシーズンを終える大幅な変更となった。

 この変更はビッグトーナメントも例外ではなく、例年8月にメジャー最終戦として開催されていた全米プロは5月に、準メジャーと称されるプレーヤーズ選手権は5月から3月に移った。

 来季からはマスターズ・トーナメント、全米プロ、全米オープン、全英オープンの順でメジャーは開かれる。

 この日程変更にウッズの活躍が加われば、米ツアー、そしてゴルフ界が再び盛り上がりを見せるのは間違いない。復帰後初勝利が待たれる。

杉山 勝則(すぎやま・かつのり)プロフィル

2008年共同通信入社。本社運動部、大阪運動部を経て、広島支局で主に広島カープを取材。12年末から本社運動部でゴルフ、ラグビーなどを担当。山口県出身。

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