押尾コータロー『15th Anniversary Special LIVE 』

 アコースティックを押し通すミュージシャンで、しかも歌を歌わないギタリスト。なのにこれほどまで支持を得ている日本人アーティストは今、この人をおいていないのではなかろうか。とにかく、一度に使うギターは一本。とりたててMCが多いわけではない。歌がないから歌詞に「直接的に」感情移入をできるわけでもない。なのに不思議と、もう一曲、もう一曲と、集中を高めて聴きたくなり、あっという間に時がすぎていく。

 2017年、メジャーデビュー15周年を迎えた押尾コータローによる、2時間30分(!)にわたる大阪フェスティバルホールでのライブの模様を収録したDISC1。DISC2はこのときのアンコール楽曲に加え、同年12月14日に行われた東京・Bunkamuraオーチャードホール公演のなかから葉加瀬太郎、柏木広樹とのセッションを収録している。まさに充実の2枚組だ。

 一人で弾いているとは思えない、とよく評されているけれど、本当に、ギターという存在の使えるところを全部使っているような演奏だ。もちろんなにをしているか想像さえつかないけれど、その手元の動きを見られるのが、 DVDならではの魅力だろう。技術が高まって高まって、究極の「自由」にたどり着いた人。リスナーは安心して、心を完全にカラにして、彼が奏でる音楽の世界に身を委ねることができる。

(ソニーミュージック・7000円+税)=玉木美企子

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