戦死した陸軍少年飛行兵の日誌を収めた本(右手前)の点訳本のファイル=福井県視覚障害者福祉協会情報提供センター

 1945年4月、沖縄上空で戦死した福井県旧下穴馬村(現大野市)出身の陸軍少年飛行兵(少飛)が残した日誌を収めた本を、ボランティア団体「福井県点訳むつみ会」が点字に訳した。データは視覚障害のある人らを対象にしたインターネット上の図書館で公開されており、戦中の若者の思いを広く全国に伝えている。

 ⇒陸軍少年飛行兵の日誌が本に

 日誌は、平野利男さん=享年(18)=が航空通信学校時代に書いたもの。利男さんのおいで同県福井市の医師平野治和さん(65)が大野市の実家で見つけ、編著者として利男さんの生い立ちなどとともにまとめ2016年に「花もひらかぬ一八のまま」のタイトルで書籍化した。

 県視覚障害者福祉協会(福井市)の点字指導員、稲葉富子さん(69)が治和さんと旧知で、出版を知り、点訳に結びついた。利男さんの日誌には、10代で戦争に身を投じた少年の命を賭して国を守る覚悟と、家族や古里を思う心情が赤裸々につづられている。稲葉さんは「戦争や災害では障害のある人ら弱者ほど大きな影響を受ける。何らかの形で後世に残すべき本だと感じた」と話す。

 むつみ会の会員が校正を含め1年以上かけて点訳を進めた。本には日誌がほぼ原文のまま収録されており、文体や言葉遣いが現代と異なるなど、一般の書籍に比べ時間がかかったという。B5サイズの点訳用紙でファイル6冊分、約800ページが完成した。

 平野治和さんは「普通の青年だった叔父の(日誌の)言葉は、狂気の時代を強く映し出している。障害のある人にも読んでもらい、当時の若者の思いや戦争そのものについて考えてほしい」と願っている。

 県視覚障害者福祉協会の点字図書館で点訳本を貸し出しているほか、点訳、音訳データをネット上で利用できる会員制の「サピエ図書館」でも公開している。問い合わせは同協会情報提供センター=電話0776(23)4647。

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