【論説】宇宙で今、大きな“イベント”が二つ同時進行している。2003年以来の「大接近」となった地球への火星接近は、7月31日のピークは過ぎたが、秋まで明るく観察しやすい状態が続く。一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」による小惑星りゅうぐうの調査は、8月下旬にも着陸地点が決定される見込みだ。

 宇宙を舞台にした科学技術研究は、生命の起源解明、資源開発など、幅広いテーマで取り組まれている。特に小惑星探査は、日本が世界に誇る成果を上げている。壮大な宇宙のドラマが夏休みの子どもたちの好奇心をくすぐり、宇宙科学の道に誘ってくれるかもしれない。

 ■火星ショーは継続中■

 火星は、約2年2カ月ごとに地球に接近する。公転軌道がややいびつなため接近距離はその都度異なり、大接近は15年と17年ごと。ただ、次回の20年10月の接近も大接近と遜色ない距離まで近づく。

 31日の最接近では各地で観測の催しがあったが、火星の天体ショーはまだまだ終わらない。夜、南の空で、見やすい状態が続いている。明るさの変化や星座の中の動きに着目し、継続して観測するのも面白い。

 国立天文台によると、8月の明るさはマイナス2・8等~マイナス2・1等。太陽の次に明るい恒星シリウスのマイナス1・46等をしのいでいる。その後次第に暗くなっていくが、10月でもマイナス等級が維持され、土星より明るい。

 丁寧に観測していれば、火星接近時の「逆行」に気付ける可能性も。通常、惑星は公転に伴い星座の中を西から東に動くが、東から西に移動していくように見える時期がある。現在火星は逆行中で、8月28日が順行に戻る節目。移動が止まったようになるので「留(りゅう)」と呼ばれる。

 ■りゅうぐう着陸間近に■

 一方、間もなく本番となるのが、はやぶさ2のりゅうぐう着陸調査だ。14年12月の打ち上げから3年半がかりの旅の末、りゅうぐう上空20キロまで接近したのが今年6月27日。その後、表面への接近を繰り返して、詳細な観測を行ってきた。

 これまでの調査で、▽表面に水分が見つからず、予測より乾いている▽直径900メートル程度の天体としては、大きな岩が多い▽上下で表面温度に差があり、自転軸の傾きによって季節が存在しているとみられる―などが分かってきている。赤道付近に縦に二つ並んだ岩を目印に、座標の基準となる「経度ゼロ」の位置も決められた。

 6~7日には上空約850メートルまで降下、重力の影響を確認。着陸地点を決めるための最終段階で、順調なら9月にも表面からの試料採取が試みられる。

 ■人類の未来■

 りゅうぐうが探査対象になったのは、水や有機物を含む可能性が高い「C型小惑星」で、生命の起源や太陽系誕生の謎に迫る手がかりを求めてのこと。こうした研究には、地球環境問題への多大な貢献が期待される。さらに小惑星は、宇宙開発が本格化したときの資源調達拠点として注目されており、地球との衝突可能性があるため危機回避の研究も欠かせない。

 JAXAは火星の衛星探査も計画している。二つの衛星「フォボス」「ダイモス」のどちらかから試料を採取するもので、20年代前半の打ち上げを目指す。成功すれば、火星有人探査につながっていく期待もある。

 宇宙研究は、夢やロマンにあふれるとともに、人類の未来をかけて科学技術の進化を目指す最前線となっているのだ。

 この夏の二つのトピックスから、宇宙への関心をぜひ盛り上げたい。

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