【越山若水】猛暑日ときどき真夏日。こんなに暑いときは、ちょっとコワ~い話が向いている。背筋がゾクッとして、少しは涼しくなろうというもの。では、一席お付き合いを▼時は2030年代、華やかなりし東京五輪の祭典も過ぎて、街はすさんだ空気に包まれている。一部で急速に治安が悪化し始め、スラム化した街区も目に付く▼かつてにぎわった繁華街にも空き家が目立つ。ワケありの連中や動物の巣窟と化し、まるで幽霊屋敷のよう。大東京の一画はうらぶれた恐怖の街へと変わり果てた▼空き家問題は田舎の話と思うだろう。総務省の13年調査によれば、全国の空き家率は13・5%で総数820万戸。上位は山梨、長野、和歌山県の20%前後。しかし実数を見ると状況はガラリと変わる▼東京都が断トツの1位で、81万7千戸と全体の1割を占める。さらに30年代には空き家率、総数とも現在の2~3倍まで増加。都市部はもっと顕著になるという予測もある▼東京の空き家のほぼ半数は賃貸マンション。築30年以上の古い物件が多く、高齢住民は修繕もできない。郊外の一戸建ても子ども世代には敬遠される▼長年の東京一極集中の反動と高齢化の波で、空き家は都市の重要課題になると「未来の年表2」(河合雅司著、講談社)は言う。表向きの繁栄の裏で増え続ける幽霊屋敷…。何とも不気味な東京の未来図である。

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