【越山若水】「微力だけど、無力じゃない」。どこかで聞いたことがある。そんな人もいるだろう。一人一人の力は小さいけれど、みんなで協力し合えばきっと大きな力になる▼実は被爆地の長崎、広島などから選ばれた「高校生平和大使」の合言葉だ。核兵器廃絶を訴え1998年から活動開始。国連訪問や署名運動に取り組んできた▼2008年には田上富久長崎市長が平和宣言で、彼らの「微力だけど―」の言葉と活躍を紹介した。20周年の今年はノーベル平和賞の候補に決定する朗報も届いた▼核兵器のない平和な世界を目指す原水禁世界大会が、今月9日まで広島と長崎で開かれる。昨年7月には国連で核兵器禁止条約が採択され、今年は6月に米朝首脳会談が実現し、特に注目度が高まる▼21代目となる高校生平和大使20人も長崎大会に参加し、核廃絶の署名活動や平和学習に取り組む。8月下旬にはスイスの国連欧州本部を訪問し、軍縮会議を傍聴するという▼高校生たちが発信した合言葉は既に名文句として流布している。特に11年の東日本大震災以降は、災害復興を支援する共通語としてすっかりおなじみ▼「微力だけど、無力じゃない」。一人一人ができることをやれば、社会を動かす大きなエネルギーになる。西日本豪雨の惨禍から約1カ月、復旧の途上では一層重みを持って響く。真理を突いた深い言葉である。

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