【越山若水】徳川の昔ならまだしも、いまでも江戸前の魚を有り難がるなんて…と言うのが口癖のようになっている。東京からの来客には「福井の魚はうまいでしょ」と自慢する▼少々、思い上がりが過ぎたかもしれないと反省している。東京湾の江戸前ネタがおいしいのは豊かな地下水のおかげ、という一文をある情報誌で読んだからだ▼筆者の竹村公太郎氏は国土交通省の初代河川局長を務めた人。その解説によると、東京湾へは常に利根川流域の地下水網から大量の水が注がれ、湾を浄化している▼近代化による汚染でヘドロの海となった湾は、こうして再生した。加えて、真水が海水に混じる利点も大きい。多様なプランクトンが発生し、大小種々の魚が餌を求めて集まる▼徳川の昔に利根川の本流は河川改修で東へ大きく曲げられた。が、地下水網は変わらず東京湾に流れ込み、世界の大都市を支えている。「奇跡に近い」。竹村氏の見解に納得だ▼ミツカン水の文化センター(東京)が先に大都市圏で意識調査をしている。心配な結果が出た。節水していない人が6割近くに上り、これまで24回の調査で最高だった▼豪雨、猛暑、台風。水の怖さと貴さの両方を味わった7月が終わり、きょうは「水の日」である。またも偉そうなことを首都圏の方へ申し上げる。節水は環境保護の初歩。江戸前を守るためにも水を大切にと。

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