福井市の福井県済生会病院で2015年、帝王切開による分娩時に麻酔注射を受けた30代女性が、脊髄を損傷し両脚に後遺障害が残ったとして15日、同病院を運営する社会福祉法人恩賜財団済生会(東京)に約5700万円の損害賠償を求めて福井地裁へ提訴した。同病院は局所麻酔の針が脊髄に達し損傷させた可能性が高いと認め昨年11月、女性に損害賠償を提示したが折り合わず、提訴となった。

 女性は15年12月に同病院で第3子を出産した福井市の主婦。訴状などによると、女性は脊髄近くにある「硬膜」の外側に管を入れる「硬膜外麻酔」の前段階として局所麻酔を施されたところ、両脚に激しい痛みが走った。無事出産したが、退院後も両脚に痛みや腫れなどが残ったままで、16年1月に病院に原因究明を申し入れた。

 同年8月までに局所麻酔の針が脊髄に達し損傷させた可能性が高いと病院側が認め、女性に労務が相当制限されるレベルの後遺障害9級との判断に基づき、約2080万円の損害賠償を提示。女性は後遺障害に伴う自宅改修や家族の負担増などが考慮されていないとして病院側に約4900万円の損害額を提示したが、病院側は拒否した。

 女性によると痛みやしびれは今も残ったまま。つえや車椅子が一生欠かせず、車の運転はできなくなった。女性の代理人弁護士は「夫も育児、家事、介護のため仕事を4年間休まざるを得なくなった」としている。女性は「子どもたちと自由に散歩したり抱っこすることもできなくなってしまった。二度と同じ事例が起こらないことを願っている」と話している。

 同法人の代理人弁護士は「訴状が届いておらずコメントできない」としている。

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