記者会見する海道宏実弁護士(左)=9日、福井市の福井弁護士会

 福井市定正町のパナソニック森田工場に勤めていた同市の男性が過労死と労災認定されたことについて、遺族代理人の海道宏実弁護士が9日、同市内で会見し、男性は死亡する前の2カ月間、過労死ラインとされる月80時間を超える時間外労働が続いていたと明らかにした。

 男性は、パナソニックの2次下請け会社「アイエヌジー」(福井県あわら市)の契約社員の上田浩志さん=当時(46)=で、深夜に電子部品の加工作業をしていた。2015年10月20日、夜勤明けの帰宅途中に意識を失い、くも膜下出血で死亡した。福井労働基準監督署は長時間労働による過労が原因とし、今年1月31日付で労災認定した。

 上田さんは午後11時〜午前7時15分の雇用契約だったが、早出や居残りが常態化。15年3月ごろからの月、土曜日は午後9時、火〜金曜日は午後7時に出勤し、退社時間も納期や機械の故障によって遅くなったという。亡くなる前の2カ月間の時間外労働はタイムカードの記録で83時間と81時間だった。上田さんは母親に「トイレに行く時間もない」などと仕事の忙しさを話していた。

 アイエヌジーが上田さんの勤務時間を調整するため、残業代を翌月に繰り越すと記した給与明細も残っている。海道弁護士は「タイムカードで労働時間を把握しながら無理な労働を続けさせていた。労務管理が極めて悪質。パナソニックも下請け会社社員の労働環境に配慮すべきだ」と指摘した。遺族はアイエヌジーに対し損害賠償請求を検討している。

 上田さんの兄は「仕事は生きるための手段なのに、仕事のせいで過労死することが絶対にあってはいけない」とのコメントを出した。

 アイエヌジーは「昨年から労働環境の改善を行っている。今後さらに進めていきたい」とし、パナソニックは「雇用関係がないのでコメントは差し控える」としている。

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