福井駅前商店街

 2023年春の北陸新幹線の福井県内延伸を控え、福井市のJR福井駅西口の複数の区画でハピリンに次ぐ再開発の動きが加速。対象区画の建物では退店が目立ち始めた。退店後の空き物件は、再開発が決まれば取り壊されるため、新たな出店希望者も二の足を踏む。いずれの区画も、構想や計画が順調に進んだとして事業完了までに数年以上かかり、活力を取り戻しつつあるまちなかに空洞化が生じかねない。

 ■回収できない

 「出ていく人に詳しく聞くわけにはいかんけど、再開発の話が影響したんやろな」。駅西口の地権者の70代男性がつぶやいた。ビルを持つ区画に再開発の構想が浮上し、長く入居していた1階のテナントが昨年退店した。その後、カフェや美容室の入居の相談はあったが、契約には至っていない。「再開発までの営業という約束になるからね」

 市の第三セクターまちづくり福井の岩崎正夫社長は「開業には設備投資が必要で、短期間の営業では投資を回収できない。このままでは、再開発の対象になる物件で商売を始める人は現れにくい」と指摘する。地権者男性はシャッターが閉まった姿を気に掛けつつ、古くなったビルを一新できる再開発計画が進むよう期待を寄せている。

 ■工事に2年半

 駅西口の再開発をめぐっては、ハピリン向かいのスーパー「ハニー食市場北の庄店」の一帯で複合ビルの計画が進み、3月下旬にも一部建物の取り壊しに入る。区画内にあるカフェなど10店舗程度は順次退店し、500坪以上がいったん更地に。18年の福井国体を挟んで、19年10月をめどとするビル完成までの約2年半は工事が続く。

 過渡期に伴うまちの停滞に、地元も懸念がないわけではない。同店を運営するフルキャストの大嶋良雄社長は「工事の間は周り(の商業者)に頑張ってもらうしかない」。福井駅前五商店街連合活性化協議会の加藤幹夫会長は「まちが死んでしまわないように、商店街で土日限定の市場を開くなど対応を考えないといけない」と話す。

 ■バトンタッチ

 中央大通りと福井駅前電車通りに挟まれた「三角地帯」も、福井銀行がユアーズホテルフクイの建て替えを軸とした再開発の検討対象としている。検討区画内では、昨年9月にミスタードーナツ福井駅前店が閉店。12月には同ホテル隣接の大手旅行代理店が移転し、反対隣の居酒屋も今春に移転する予定だという。

 福井駅前南通り商店街やガレリア元町商店街の一帯では、地権者らが再開発を検討する「福井駅南エリア再開発協議会」が昨年12月に発足し、ここでも1月末に飲食チェーン店が閉店した。

 両案件とも、22年度の北陸新幹線延伸に合わせた完成が目標。商機拡大の期待感に加え、「行政が補助金を出しやすい今のうちに計画を具体化したい」(地権者)との意向が動きを後押ししているようだ。

 「地権者の多くは高齢化して、将来(の物件の取り扱い)に悩んでいる」と語るのは、同協議会の計画づくりに携わる下川勇福井工大准教授。開業までの間の影響を踏まえながらも、「地権者が今後を考え、次の世代にバトンタッチしていく機会にしたい」としている。

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