【論説】2020年の東京五輪開幕まで2年を切った。選手強化が進む一方、大会運営には課題がのしかかっている。この夏の猛暑は災害に位置付けられ、対策の重みが増した。アクセス道路の整備遅れが影を落とす渋滞問題も、根本的な解決策が見つかっていない。2年という時間はあっという間に過ぎる。都や大会組織委員会はもちろん、関係機関が一体となって向き合う態勢づくりが急務である。

 暑さ対策では、2年後も「猛暑は災害」になるとの前提に立つことが何より重要だ。具体的には、直射日光からどれだけ逃れられるかが鍵になる。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、とにかく日陰を多くつくるよう注文している。観客の列を覆う仮設の屋根、ミストシャワーなどは効果が見込めるだろう。行列の時間短縮、ボランティアの活動時間管理などの工夫も大事だ。

 選手についても、「鍛えているから」などと楽観視するのは禁物である。むしろ選手たちは、限界を感じても無理をする可能性がある。控室、ウオーミングアップ用の施設などを含め、選手目線でどんな環境を用意すべきかチェックしておかなければならない。

 決定済みの競技スケジュールも柔軟に見ていくべきだ。マラソンはスタートを午前7時に早めたといっても、当初予定から30分ずらしただけで、直射日光にさらされることに変わりはない。アテネは午後6時だった。夜間開催の可能性は検討されたのか。当日の気温上昇が見込まれるなら延期もあり得るはずだ。そのための日程の余裕をぜひ検討しておくべきだ。

 また、道路渋滞も重い課題である。都や組織委、国土交通省、首都高速道路会社などがつくる調整会議は今年1月、「対策をしない場合、首都高速の渋滞は例年の約2倍」との中間報告をまとめている。

 都心と臨海部の会場などを結ぶ環状2号線が、築地市場移転問題がこじれたことにより整備が間に合わないのが要因である。暫定道路で対応するが、車線が少なく輸送力が落ちる。

 政府や都は時差出勤や、自宅で業務をする「テレワーク」の促進、期間中の配送業務見直しなどを呼び掛けるが、決め手を欠く印象は否めない。

 気になるのは、これら課題への対応ぶりに関係機関の組織的な問題点もうかがえることである。渋滞問題では、混雑箇所に大会用レーンを設置する計画が「渋滞がかえって悪化する」との指摘を受けて見直しを余儀なくされ、現在も案が完成していない。都の打ち水作戦のパフォーマンスに対しては、逆に暑さ対策が手薄である表れなのでは、と懸念する声が上がった。

 専門家を交えて現状を分析し、必要な施設整備や運用見直しを計画的に実現していく“対策本部型”対応を今こそ関係機関に求めたい。連携を深めながら権限も集中し、即断即決していかなければ問題解決は遠い。国の総力によらないと、五輪成功はおぼつかない。

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