奥澤さん(右)のひと言から生まれたみそかつと、店主の中川さん=福井市中央1丁目の「むろまち」

 JR福井駅西口にあるみそかつの店「むろまち」(福井市中央1丁目)。看板メニューのみそかつは、1968年の福井国体が縁で誕生し、半世紀の間にエキマエの“名物”の一つとなった。2巡目の福井国体が来年に迫り、店主の中川昌信さん(76)は「長く、たくさんの人に味わってもらえ、再び福井国体を迎えることができうれしい」と感慨深げだ。

 同店は、福井国体前年の67年にとんかつ店として創業。当時はソースで食べる一般的なとんかつを提供していた。

 当時からの常連客の一人が現在、福井市で整骨院を営む奥澤耕筰さん(73)。奥澤さんは名古屋市出身で、大学卒業後、柔道の福井県教員チームとして国体に出場するため66年に来福。北陸高の柔道部監督として勤務していた。

 奥澤さんは、生徒の指導や、福井市宝永3丁目にあった県の武道館で、練習に明け暮れていた。「ソース味でおいしかったけれど、名古屋のみそかつが恋しかった」と奥澤さんは、「みそかつを作っては」と提案。中川さんは名古屋に行ったこともなく「食べたことも見たこともなかった」が、常連の要望に応えようとメニュー作りの挑戦を始めた。奥澤さんも、名古屋でみそかつ専門店を経営していた叔母から、みそだれを分けてもらい、レシピとともに中川さんに託した。

 中川さんは、レシピを参考にしながら、オリジナルの味を追求。父親が営んでいた豆腐店の木の芽田楽にヒントを得て、さんしょうを振りかけるなど工夫や試行錯誤を重ねた。ようやく満足の味にたどりつき、奥澤さんに試食してもらったところ「うまい」と太鼓判。68年の春にメニューに加えた。

 次第に注文する客が増え、10年ほどで同店の看板メニューに育った。今では来店者の9割がみそかつを注文する。出張で訪れた“本場”名古屋市からのサラリーマンが来店することもあり、「名古屋よりもおいしいと言ってくれることもある」(中川さん)という。

 奥澤さんは今でも年数回は同店を訪れ、変わらぬ味に舌鼓を打っていて「みそかつはもちろん、とんかつも福井ではむろまち以外では食べない」。来年は2巡目福井国体の開催の年で、中川さんは「看板メニューができたのは、奥澤さんと福井国体のおかげ」と話している。

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