引きこもりの人たちが思い思いの時間を過ごすフリースペース「ima」。最近訪れるのは大人がほとんどだ=1月27日、福井市宝永2丁目

 仕事に就かず自宅にいる「引きこもり」の長期化が進み、若者だけの問題ではなくなっている。長期化するほど孤立は深刻になり、社会復帰が困難になるケースが多い。社会的受け皿が少ないとの指摘もあり、複数の関係者は「在宅でできる仕事の提供や、安心できる居場所づくりが必要」と話している。

  ■子どもは1人■

 福井市内の民家の2階。不登校の子どもたちの居場所として、スクールカウンセラーだった南康人さん(54)が2006年、フリースペース「ima(いま)」を立ち上げた。現在は水曜、金曜日に場所を開放している。

 当初は小中学生が集まり、テレビゲームをやったりしていたが、現在ここを訪れる人は20〜30代の大人ばかり。子どもは小学生一人だけだ。

 ある日の昼下がり。20代の男性がごろんと横たわり、スマートフォンやテレビを見ていた。通い始めてから6年。男性は「自分の家のようで居心地が良い」。10年以上通っていた30代の女性は「社会に出て挫折しても、戻ってこられる場所」と話す。

 南さんは「引きこもりの子どもは、自分なりに生き方を見つけることが多いが、大人の場合は必ずしも働けるようになるとは限らない。息の長い支援が必要」と指摘する。

  ■就職支援強化■

 12年の国の就業構造基本調査によると、15〜34歳で通学していない県内の無業者(ニート)は約2800人。15〜39歳の就労支援機関「ふくい若者サポートステーション」への登録は15年度までの10年間で1331人に上り、このうち就職など進路が決まった人は45・2%の601人だ。

 同ステーションは、コミュニケーション能力向上訓練やボランティア体験などを通し自立を支援。本年度からはスタッフが企業訪問し、企業が求める人材を把握し、就職のマッチングを図っている。

 学校を中退、卒業した後にそのままニートになることを防ぐため、学校では働くことに関するセミナーを開き、個別面談にも応じている。

  ■会話ができず■

 内閣府は昨年9月、15〜39歳の引きこもり数は推計54万1千人で、5年間で約15万人減ったと公表。これに対し、NPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」は今年1月、「内閣府は40歳以上を排除している。40歳以上の引きこもりは16万人存在すると考えられる」という緊急提言を発表した。

 同連合会福井県支部の近藤茂樹会長(69)は「40代以上の引きこもりの人は多い。20〜30代を支援する社会的受け皿はあるが、40代以上になるとほとんどなく、社会的に孤立しがち」と危惧する。

 引きこもりが長期化した場合、家族以外の人とは会話ができなかったり、会うことすらできなかったりすることもある。家族も精神的に参り、共倒れになる危険性もはらんでいるという。

 近藤会長は「家の外、部屋の外に出ることが困難な人がいる。ITを活用して自宅で仕事ができる『テレワーク』などが普及すれば、社会参加の一つのきっかけになるのではないか」と話している。

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