【論説】わが国が世界で指折りの「自然災害大国」だということは多くの人が認識している。地震、津波、台風、豪雨、洪水や土砂崩れ、豪雪、火山噴火など数え上げれば切りがない。

 今年の場合も、2月上旬の福井豪雪で交通網が寸断され県民の生活を直撃。6月中旬には大阪府北部で最大震度6弱の地震が発生した。その恐怖も冷めやらぬうち、7月上旬には西日本を中心に豪雨が急襲、15府県で死者220人(警察庁まとめ)を超える惨事となった。

 痛々しい爪痕が残る中、今度は被災地や日本各地は最高気温35度を超える猛暑日に見舞われた。熱中症で搬送される患者が相次ぎ亡くなる人も急増した。炎熱のような暑さは「もはや災害」に等しい。日本は酷暑を含めた備えを迫られる災害新時代を迎えたといえそうだ。

 ■災害リスク高い日本■

 世界の主要都市に関し、自然災害のリスクを指数化したデータがある。地形・地盤などの立地条件と地震、津波、高潮、洪水、土砂の五つの災害誘因による最大被害値を算定し、防災科学技術研究所が2013年にまとめたものだ。

 トップは東京圏で443。2位が大阪圏の278。東京圏は地震のリスクが過半数を占め、大阪圏は地震と津波・高潮がほぼ同じ割合。ともに洪水・土砂リスクはやや低かった。

 次いで地震、火山帯に位置するインドネシア・ジャカルタの131、山地が近いフィリピン・マニラの115が続いた。ちなみに米国ロサンゼルス81、中国上海33、英国ロンドン18だった。日本の災害リスクが群を抜いて高いと教えられ、ゾッとする思いである。

 ■酷暑で熱中症命取り■

 これに加え近年、地球温暖化の影響で異常な高温が続いている。今夏の記録的な猛暑に気象庁は「命の危険がある暑さ。災害と認識している」と表明。熱中症の危険はますます高く、体温調節機能が弱い高齢者や子どもには命取りにもなる。

 今月16~22日の1週間で緊急搬送された熱中症患者は2万2647人で過去最多。死者は28府県で65人を数え、1週間で昨年の総数を上回ったという。

 炎天下での運動や学校行事、肉体労働などは避ける。また水分や塩分の補給、こまめな休憩を心がけるなどの注意点が連日報道された。ただ高齢化が進む中で最も注意を要するのは、夜間も含め住宅内で発症するケース。発見が遅れがちになり、高齢者に対する地域の見守りも重要になる。

 ■住民と行政が一体で■

 今年は1948年の福井地震からちょうど70周年に当たる。地震1カ月後に九頭竜川洪水も発生したため、県内では被災経験の風化防止と「複合災害」に備える啓発が熱心に行われた。

 その同じ時期に、大阪府北部地震や西日本豪雨を目の当たりにした。そこへもって猛暑による熱中症災害である。改めて恐怖心を覚えた人も多いはず。

 全国知事会議が「防災省」の設置を求める緊急提言を採択したほど、日本の自然災害は恒常化している。対策はもはや単独でなく、常に二重被害を想定することが重要になる。

 行政機関は防災体制や手順、行動計画の見直し、情報の的確な伝達法、避難所施設の再点検などが求められる。一方で住民一人一人、地域同士で早めの避難やお互いの声かけ・支え合いなどで命を守る。要は「自助」「共助」「公助」の三位一体で立ち向かうことが要諦と肝に銘じたい。

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