【越山若水】子どもの頃の記憶に少々お付き合い願いたい。ある夏のこと、父親がどこからか車のラジエーターを手に入れてきた▼板で外枠を作って立つようにし、水を通すため風呂場からホースを引いた。これを居間に据え、古い扇風機を引っ張り出してきて背後に置き完成。手製クーラーである▼それ以降きょうだいが夏に過ごす場所は扇風機の前から“クーラー”の方に移動した。結露がひどくて頻繁に表面を拭き取らないといけないが、涼しい作業だから喜んでやった▼当時、家庭用エアコンは高価でまだ珍しかった。身内のことで口幅ったいが、父のサービス精神と、子どもを驚かせて得意顔をしてやろうというちゃめっ気だったと思っている▼文部科学省の昨年4月時点の調べでは、小中学校普通教室のエアコン設置率は49・6%と半分に届いていない。福井県は86・5%だから優等生に見えるが、中には今でも小学校でゼロの自治体がある▼財政的事情はあるのだろう。しかし行政が優先順位を判断する前提は1年前や半年前と比べても、もはや変わってしまった▼事は酷暑という災害から子どもをどう守るかである。2学期の気温も心配だ。ここは一つ、一刻も早く涼を届けて、子どもたちに“いい顔”をしたいところ。池田町は夏休み中の設置を臨時議会で決めた。今がこういう判断を行うぎりぎりのチャンスである。

関連記事