木製バットの生産に追われる従業員=30日、福井県越前市池ノ上町のゼットクリエイト武生工場

 球春を前に、福井県越前市池ノ上町のゼットクリエイト武生工場で、プロ野球選手用バットの生産がピークを迎えている。選手の細かい注文に応え、職人が0・1ミリ単位の精度で削り作業に当たっている。

 同工場はスポーツ用品会社ゼット(本社大阪市)の木製バットやユニホームの製造部門。プロ用バットは、福井県出身の中村悠平選手(ヤクルト)や天谷宗一郎選手(広島)を含め約100選手に供給している。

 毎年、11月ごろからキャンプに向けた注文が入り、1月に生産が本格化する。原型となる最初の一本は、この道20年の熊谷昌典さん(42)と山崎博史さん(36)の2職人が製造する。

 回転するバットに当てて削るノミは「バイト」と呼ばれ、形状に合わせて3種類を使い分ける。選手からは「握ったときに少しだけ細く感じるように」といった抽象的で細密な注文もあり、仕上げに近い工程では、木くずは粉雪ほどに細やかに舞う。

 熊谷さんは「選手生命にかかわる部分を担っていると思う。我々も真剣勝負です」。選手の“相棒”を生み出す現場は、グラウンドより一足早く熱いシーズンを迎えている。

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