「米国だけでなく世界情勢の行く末は不透明。投資については慎重を期していく」と語る結川孝一社長=福井市のセーレン本社

 トランプ米政権が通商政策の転換を打ち出し、北米に進出する日本企業への影響が懸念される中、米国とメキシコに自動車内装材の生産拠点を持つセーレン(本社福井市)の結川孝一社長が福井新聞のインタビューに応じた。セーレンの主力である車輌資材事業を統括する結川社長は、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉などについて「当面はメキシコなどでの投資を慎重に進めていくことになる」と話し、具体的な政策の内容を見極めて対応する考えを示した。

 —トランプ政権はNAFTAの見直しに向け、近くメキシコと再交渉に入る予定だ。見直される内容によっては、日本企業にも大きな影響が出ると懸念されている。

 「NAFTAの行方は、われわれも含め、メキシコに拠点のある日本の自動車メーカーや部品を供給している企業にとって最も気になるところだ。ただ、今は断片的な情報が伝わっているだけで、具体的にどうなるかが見えてこない。メキシコで製造して米国に輸出する場合、35%の高い関税を課すとも言われているが、本当に可能なのかどうか疑問もある。個別の企業に高い関税を課すのは難しく、自動車の場合、部品も対象となるのかも分からない」

 —NAFTAの見直しに対する具体的な方針は。

 「現時点では、自動車メーカーはこれまでに決めた計画を変更する方針はなく、われわれも基本的に同じだ。再交渉が始まっても、今すぐに何かが変わることはないだろう。ただ、メキシコでの投資は慎重に進めたいと考えている。メキシコでの第1次投資約50億円のうち、3割程度が未消化となっている。早急に決める必要のないものは後ろにずらし、今後の動向を見ながら対応したい。米国だけでなく世界情勢の行く末は不透明であり、投資については(生産拠点のある)中国などでも慎重を期していく」

 —トランプ大統領は就任演説で米国第一主義を強調した。経済への影響についてどう考えるか。

 「自国の利益を第一に考えるのは当然だと思う。しかし、トランプ政権が進めようとしている保護主義的な傾向が世界に波及することを懸念している。(セーレンは)海外事業が業績をけん引しており、車輌資材の世界シェア拡大を目指す方向性は変わらない。(政権発足から100日となる)4月末ごろになれば、実施を表明しているさまざまな政策への対応策が見えてくるのではないか」

 —トランプ政権に期待することは。

 「米国民は、これまでの政治の延長ではなく、変化することを選んだ。良い変化が起きることも期待したい。例えば、世界で最も高いとされる米国の法人税を減税する方針を示している。実行されれば米国景気の拡大につながり、世界経済にとっても恩恵となるだろう」

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