東尋坊で記念撮影する香港の家族=28日、福井県坂井市

 中国の旧正月「春節」に合わせた大型連休の旅行先として、福井県が中国版SNS(会員制交流サイト)上で注目を集めている。越前がになど冬の味覚に興味を示しているようで、春節の28日は県内の名所や旅館に中華圏の観光客の姿が見られた。ただ、実際の人出は例年並みとの声が多く、「気になる観光地」の域は出ていないようだ。

 インバウンド関連情報提供のトレンドExpress(東京)の調査によると、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」に昨年10〜12月に書き込まれた投稿のうち、「2017年春節に日本で行きたい場所」の都道府県別ランキングで、福井は鹿児島と並んで9位(14件)だった。首位は大阪(271件)で、東京(162件)、京都(132件)と続いた。

 昨年10月の国慶節の大型連休中、実際訪れた都道府県を聞いた同社の調査では、福井は10位圏外だった。圏外から今回のランキングで10位以内に入ったのは福井と広島のみ。

 中国人は日本の旅行で、写真映えする景色や、雪や餅つきといった風物詩に関心を寄せていることが調査の分析で明らかになっている。福井県に関する書き込みでは、「越前がに」「すし」への言及が多かった。芦原温泉(あわら市)の旅館「美松」の担当者は「この時期の中国からの宿泊客のほとんどは、越前がにを食べるのが目的。部屋のグレードはそれほど気にしない」と話す。

 東尋坊(坂井市)では28日、中華圏の観光客が記念撮影したり、海の幸に舌鼓を打ったりする姿が見られた。国内に1週間滞在予定のシンガポールの陳淙傑(ちん・そうけつ)さん(36)ら11人は、福井県ではカニを楽しみにしていたという。陳さんは「とてもおいしかった。みんな満足しており、また食べに来たい」と笑顔をみせた。妻と娘の3人で香港から来日した男性(52)は「景色が素晴らしい」と東尋坊からの眺めを満喫。旅行雑誌で福井県を知ったといい「大本山永平寺(永平寺町)にも行くつもり。日本の文化を学びたい」と話していた。

 ただ、東尋坊の通りに店を構える「やまに水産」によると、「例年に比べ、中国人観光客が増えている実感は今のところない」。この日、中国人が大勢訪れたという大本山永平寺も「普段から参拝者は多く、春節の影響は不明」としている。県内の主な観光、宿泊施設を対象にした県の聞き取り調査でも「客足は例年と特に変化がない」との回答が多くを占めた。

 一方、聞き取り調査の回答を詳しくみると、「団体客が減少し、個人客が増えている」とのトレンドも浮かんでくる。都市部を中心とした訪日客の「爆買い」ブームは落ちつき、旅行需要の多様化が進んでいるとの見方が全国的に広がっている。豊かな自然とおいしい食べ物が売りの福井県は、伸びしろが大きいとも言えそうだ。

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