有効期間ごとに保管されている赤血球製剤。若者の献血離れは深刻で、40代以上が輸血の需要を支えている状況だ=福井市の県赤十字血液センター

 若者の献血離れが進んでいる。2015年度の福井県内の10〜30代の献血者割合は全体の36・6%で06年度比で15・7ポイント減少。20〜30代の献血者数は4割近く落ち込んでいる。輸血用血液製剤の8割以上は50代以上の人に使われており、高齢化が進めば必要な輸血量は増える可能性が高い。関係者は「将来的には血液不足の恐れがある」と訴える。

  ■有効期限3日■

 温度20〜24度に保たれた専用の機械の中。黄色い液体が入ったビニール袋が台の上で、24時間揺れている。輸血に使われる血小板製剤だ。県赤十字血液センターの清水慎一・事業部献血推進課長(56)は「静止すると血小板は固まってしまうため使い物にならない」。水害などに備え、コンセントは全て天井に設置されている。

 採血した血が、検査を経て輸血用製剤になるまでおよそ丸1日。有効期間も短い。最も使われる血小板製剤の有効期間は採血後4日間で、製剤として使えるのは実質3日間だけだ。赤血球製剤は2〜6度で21日間、血漿(けっしょう)製剤はマイナス20度以下で1年。赤血球製剤を保管する冷蔵室には、「○日期限」と書かれた棚ごとに、パック詰めが並ぶ。

 同センターは県内病院の手術の予約状況などを把握し、血液の需要量を見通す。その上で献血バスや出張採血を行うため、常に需要に見合った供給量が保たれている。

  ■血液需要増も■

 16〜69歳が対象となる献血者数は1991年度をピークに減少が続いている。理由について清水課長は「当時は200ミリリットル献血が主流だったが、現在は400ミリリットル。また医療技術の進歩で、治療時の出血量を抑えることも可能になった」と話す。

 ただ、若者の献血離れは深刻だ。献血者に占める10〜30代の割合は06年度は52・3%だったが、15年度は36・6%。人数でみると30代は37・2%減、20代は37・1%減、10代は33・7%減となっている。逆に40代以上の献血者数は増えており、需要を賄っている状況だ。

 国内の輸血の8割以上は50歳以上の人に使われており、今後高齢化が進めば、輸血の需要はさらに高まる可能性がある。日赤の見通しでは、27年には献血者約85万人分の血液が不足するとしている。

  ■人のぬくもり■

 2000年2月の昼。急性リンパ性白血病で県内の病院に入院していた宮川大さん(40)=坂井市出身=の輸血用の血小板が届かないことがあった。冬場は風邪などで薬を服用する人が多く、献血者が減るためだ。

 宮川さんは「軽く皮膚をかいただけで、太ももやおなかにポツポツとした内出血が広がった。出血で皮膚が破裂するのではと、パニック気味になった」と振り返る。

 その日の夜、ようやく届いた血小板のパックを看護師から手渡され「この温かさは献血をしてくれた人の心のぬくもり」と教えられた。

 治療中、110人分の血小板と18人分の赤血球を輸血された宮川さんは「私は顔も分からない人たちの血液で命を救われた」。病気は治り、4人の子宝にも恵まれた。その子どもたちには、こう伝えている。「献血という善意がなかったら、お前たちはこの世にいないんだよ」

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