湯気の中、古糊の仕込みに精を出す向さん親子=22日、福井市中央2丁目の向陽堂

 掛け軸などの修復や製作に使う古糊(ふるのり)を仕込む伝統の「糊炊き」が22日、福井市中央2丁目の表具店「向陽堂」で行われた。表具師の親子が小麦粉から抽出したでんぷんを熱を加えながらかき混ぜ、粘りのある白い半透明の糊に仕上げた。かめに移して10年以上、熟成させる。

 古糊は、しみになりにくく、ひび割れしにくいのが特徴で、品質が200年以上保たれるとされる。県内で糊炊きをしているのは、明治末期創業の同店だけという。

 大寒から2日後に作業するのが同店の伝統。紺色の作務衣(さむえ)姿の向久秀さん(80)と章秀さん(47)が、午前8時ごろから作業を始めた。前日に水につけて小麦粉から沈殿させたでんぷんと、精製水を釜に入れ加熱。章秀さんが約10分間、木の棒でかき混ぜ、粘りと艶を出していった。昨年表具などで使用したのと同量の約20リットルを炊き上げた。

 完成した糊は一晩冷やし、水を張って約10年間、冷暗室で寝かせる。章秀さんは「糊炊きは仕事始めで気合が入る。手間がかかっても、掛け軸などをいい状態で残していきたい」と話していた。

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