障害者の福祉サービスを考える相談支援専門員の望月さん=福井市問屋町1丁目のYouさぽーと

 障害者の自立を総合的に支援する「障害者総合支援法」が2013年4月に施行され、障害者が福祉サービスを利用するには、居住自治体に「サービス等利用計画」の提出が必要となった。作成を担当する「相談支援専門員」は福井県内で166人(15年)。13年時の93人から73人増えたが、県内で支援を必要とする障害者は約7千人とされ、1人で200人以上を担当する専門員もいる。関係者からは「支援の質を上げるためにも増員が必要」との声が上がる。

 知的障害がある小学生の息子を持つ福井市の女性(45)は2014年2月ごろ、息子のための相談支援専門員探しに奔走していた。「サービス等利用計画」を市障害福祉課に提出するためだ。

 専門員がいる近くの福祉施設に相談したが、同様の問い合わせが殺到していて対応できないと断られた。「他の事業所もいっぱいと聞いた」と女性は振り返る。4カ月後、同課に紹介された新設の事業所で、ようやく引き受けてくれる専門員が見つかったという。

 専門員になるには、障害者の保健・医療・福祉などの分野の実務経験(3〜10年)に加え、初任者研修を受ける必要がある。県は障害者総合支援法施行以降、研修の機会を増やし、専門員の拡充に取り組んでいる。

 福井県障害福祉課によると、県内の専門員は93人(13年)、131人(14年)、166人(15年)と年々増加しているという。しかし専門員166人のうち85人は施設職員として他の業務との掛け持ち状態で、所属施設の利用者を担当するだけで手いっぱいになりがち。新規の利用計画作成は引き受けにくい状況だという。

 福井市の相談支援事業所「Youさぽーと」で14年4月から専門員を務める望月陽子さん(45)は、昨年末まで236人の障害者・児を担当していた。月に平均40人を訪問し、生活状況などを把握。相手の都合に合わせるため、夜に利用者宅に行くことも多いという。利用依頼は断らないようにしているという望月さんは「あちこちで断られたと訪れる人も多い」と話す。

 今年になって事業所の専門員が増えたため担当人数は約150人にまで減り少しは落ち着いたが、望月さんの繁忙さはそれほど変わってはいない。障害者の就労を支援するNPO法人県セルプ振興センターの永田弘幸センター長(39)は、「障害がある人には社会とつながる情報と安定した支援が必要。支援の質を上げるためにも、専門員の人員確保は必要だ」と指摘している。

 ■相談支援専門員 障害者の相談に応じ、助言や連絡調整など必要な支援を行うほか、障害の内容や程度に応じてサービス利用計画の作成を行う。法人が相談支援事業を実施する場合は相談支援専門員を1人以上置く必要がある。2016年5月時点で、県内には85カ所の相談支援事業所がある。

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