福井県済生会病院は十五日、肝機能障害やウイルス性疾患に用いる血液製剤の管理を、小型情報チップ「ICタグ」を利用して行う実証実験を開始した。製剤を扱った薬剤師や投与された患者名などの情報が把握できる医療版「トレーサビリティーシステム」。県内初の取り組みで、同病院は「患者の安心感につなげたい」と期待している。

 使用するICタグは、金沢市の電子部品メーカー「エフイーシー」が開発。実験は同社や野村総合研究所(東京都)などと協力して二月二日まで行い、効果が得られれば本格導入に踏み切る。

 タグは縦二十七ミリ、横二十五ミリの四角形。実験では、卸業者が品名や有効期限、ロット番号などを記録したタグを血液製剤の箱の表面に張り付け、病院薬剤部に出荷。その後▽薬剤部から各病棟への受け渡し▽看護師の処方▽薬剤部への返品—の各段階で、薬剤師と看護師が情報をパソコンに記録していく。

 情報の記録は、専用の読み取り機で瞬時に行う。各段階で、製剤を扱った薬剤師名や患者に点滴した看護師名、投与される患者名のほか、処理した日時などの情報がサーバーに蓄積される。有効期限の近づいた血液製剤を扱おうとすると警告が発せられるほか、期限切れ製剤は処理できないシステム。実験では、二十品目の血液製剤に、約五百—六百枚のタグが使用される見込み。

 ICタグは、工業製品の在庫管理や交通機関のチケット、自動車盗難防止装置などに使われている。中でも、医療分野では安全の確保や経営効率化につながると注目されており、導入する動きが広がっているという。

 改正薬事法では、血液製剤など「特定生物由来製剤」の履歴を二十年間残すことが義務づけられており、ICタグを使えばペーパーレス化とともにスムーズな記録化が可能になる。同病院薬剤部の有田光一部長は「患者に使用しなかった薬品の返品システムの構築なども進めており、今回の実験も安全確保の取り組みの一環。全医薬品にタグを取り付けるにはメーカーの協力が必要だが、今回はその一歩になると思う」と話している。

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