早木武夫・福井労働局長

 福井県内経済界の有識者に、2017年福井経済の展望などを語ってもらう。

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 —県内の有効求人倍率は最新データの昨年11月が1・87倍と高水準が続いている。

 「福井県は伝統的に繊維、眼鏡枠など人手を多く必要とする産業が盛んで、さらに勤勉な県民性もあって、よく働く。こうした背景に加えて最近は緩やかな景気回復に伴い、卸売業・小売業、サービス業など第3次産業の求人数も増え、高倍率の要因となっている。今後の見通しについては、昨秋の米大統領選後に為替相場が急激に変動するなど、県内経済への影響を注視すべき点はある。ただ傾向として県内企業の求人意欲は引き続き旺盛で、当面は高い求人倍率が続くとみている」

 「一方で人手不足が問題となっている。特に医療・福祉、販売、建設技術者などで深刻だ。求人と求職のミスマッチを少なくするため、ハローワークの窓口では職員がより丁寧な対応・助言をするよう指導している。これまでに県内13自治体と雇用対策協定を結び、Uターン対策にも取り組んでいる」

 —昨年は大手広告代理店社員の過労自殺など過重労働問題がクローズアップされた。

 「過労自殺によって尊い命が失われることは、絶対にあってはならない。労働局は長時間労働、過重労働対策を最重点施策の一つとして取り組んでいる。本年度から1カ月当たり80時間を超える残業の疑いのある全事業場に対し、監督指導することとしている」

 —働き方改革に政府は力を入れている。県内の状況は。

 「県内のパートを除く一般労働者の総実労働時間(2014年)は2069時間で、全国の2021時間を上回っている。無駄な会議をなくすなど業務を見直し、短時間労働でも効率的に仕事をする方が、実は生産性も高いということに経営者も気付き始めている。人口が減少していく中、男性も女性も、若者も高齢者も、安心して仕事と生活を両立できる職場にしていかなければ、人材を確保できなくなってきている。働き方改革は、すなわち経営者、労働者の意識改革だ」

 「さらに女性の活躍推進のためには、男性の意識改革が必要だ。全国的に女性の家事、育児に費やす時間は長時間だが、男性は短い。男性が長時間働いているから、育児など家のことになかなか取り組めない。全部つながっている。介護離職、育児離職をなくすため、育児・介護休業法、男女雇用機会均等法が改正され、1月から施行された。介護関係の制度を充実させ、非正規労働者も休業を取りやすくなった」

 —県内の労働災害の発生状況は。

 「中長期的には減少してきているが、近年はなかなか減らず、増減を繰り返している。昨年は休業4日以上の死傷者数が、11月段階で695人と前年同期より44人、6・8%増えた。立ち入り調査の結果などをみると、そもそも安全に対する意識が低くなっているように感じており、危惧している。他の背景として、人手不足に伴い1人での作業が増えていること、ベテランの人材が少なくなって災害防止の経験やノウハウ、技能が継承されなくなってきていることも考えられる。設備対策の徹底とともに、安全教育と人材育成が重要だ。どんなに機械化、自動化が進んでも、動かすのは人間だ」

 ■早木武夫(はやき・たけお) 金沢大卒。84年旧労働省入省。ベトナム労働傷病兵社会省職業訓練総局派遣、大阪安全衛生教育センター所長などを経て16年3月から福井労働局長。富山県出身。55歳。

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