「オシッサマのお渡り」の伝説を表す墨絵を完成させた安居中の美術部生徒と川原優一講師(右)=福井市の同校

 福井市安居中の美術部生徒がこのほど、安居地区の伝統行事「オシッサマのお渡り」の伝説を表す7枚の墨絵を完成させた。海外に向けて福井の魅力を発信する福井新聞のサイト「ECHIWA」(エチワ)で動画の挿絵に採用され、生徒たちは「世界中の人たちに安居を知ってもらいたい」と期待を膨らませている。伝説を絵で表した資料はこれまでなく、安居公民館などが子どもたちに伝統を受け継ぐ教材として活用していく。

 「オシッサマのお渡り」は、福井市本堂町の高雄神社の例祭として毎年10月に開かれる。神社の守護職が獅子頭をかぶった「オシッサマ」が、太鼓や童歌とともに集落内を練り歩く。800年以上の歴史があるとされ、市無形民俗文化財に指定されている。

 由来となっているのは、大凶作を避けるため行われていたという人身御供の儀式。白羽の矢が立った家が毎年必ず、子どもをいけにえとしてささげていた。ある年、旅の侍が、子をさらっていた化け物の正体を突き止めて退治し、村に平和が訪れた。侍の祖先は猿田彦命(さるたひこのみこと)で、その妻の天鈿女命(あまのうずめのみこと)を「オシッサマ」として祭ったのが始まりとされる。

 ECHIWAでは、自然を恐れて神をあがめる日本の精神性が表れた奇祭の一つとして、「オシッサマ」を英文で紹介。動画制作に当たり、地元の子どもたちが伝統を身近に感じられるきっかけにしようと、映像作家の水上晃一さん(福井市)と福井新聞記者が同校美術部に挿絵を依頼した。

 挿絵は紙芝居形式で、美術部員8人が川原優一講師の指導を受けて昨年10月に仕上げた。水墨画のタッチで昔話の雰囲気を出し、おぞましい化け物、子を抱く母の姿などを丁寧に表現した。刀を振るう侍を描いた2年の児玉隼弥君は「サイトを通じて外国の人たちにも安居の歴史が伝わるとうれしい」と話す。ページ内の動画は、躍動的な祭りの場面や住民の談話で構成され、挿絵によって人身御供の伝説を分かりやすく伝えている。

 挿絵は安居公民館に預けられた。八木千才主事は「伝説を絵で表した資料は貴重。子どもたちにも視覚で伝えやすくなる」と歓迎し、展示や発表の機会をつくりたいとしている。祭りを担う地元青年団などでつくるグループ「チームモアイ」との連携も検討している。

関連記事
あわせて読みたい