住民冷静「仕方ない」

安全確保なお課題
関電の姿勢 一定評価

 十一人が死傷する国内最悪の事故から二年五カ月。美浜原発3号機が再起動した十日、地元、美浜町民の多くは「関西電力の姿勢は変わった。運転再開は仕方がない」と比較的冷静に受け止めた。ただ「安全が確保され、何事も隠さず情報公開する」のが大前提。事故で表面化した安全文化の劣化をただす取り組みは、今後も課題として関電に突きつけられている。「地域との共生」へ向けた道のりは新たなスタートを切った。

 事故当時、丹生区長を務めていた庄山静夫さん(54)は「事故直後は『廃炉にすべき』との厳しい意見が噴出した。その後、関電の安全に対する取り組みは明らかに変わった。再開後も同じ姿勢を貫いてくれるかが重要」と話す。トラブルに関する通報体制の不備も指摘され「地元への迅速な情報公開を心がけてほしい」と付け加える。

 原子力産業とかかわりのある町民は少なくない。町商工会の松下正会長(74)は「遺族には気の毒だが」と前置きした上で、「長く再起動を待っていた。地元経済にプラスに働く」と歓迎の意向を示す。別の住民は「町にとって原発は主要産業。県や町が了解すればそれでいい」と淡々。丹生区で旅館業を営む男性は「運転再開は安全を取り戻したとの印象を与え、地元の観光にもいい効果をもたらす」とみている。

 事業本部の移転など「地域との共生」に向けた取り組みを評価する声も少なくない。二○○四年に使用済み燃料中間貯蔵施設の誘致推進を決議している美浜町会の辻健一郎議長は「再開によって、関電の対応はいい方向に向かうだろう。(原子力との)共存共栄という方向性は変わらない。今後も取り組みを具体化していかなくてはいけない」と強調する。

 一方、事故の責任を問う司法判断はこれから。前町議で脱原発を訴える松下照幸さん(58)は「点検漏れを知っていて起こした事故であれば、責任を問われるのが当然。県警の捜査結果を待ち、原因を明らかにした後で再起動するのが常識」と苦言を呈した。

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