昨年のワークショップ参加者が作った三角縁神獣鏡そっくりのチョコレート=福井市立郷土歴史博物館

 福井市立郷土歴史博物館が毎年2月に開いているチョコレートで古墳時代の銅鏡「三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)」をつくるワークショップが近年、定員の2〜3倍の参加希望者を集める人気になっている。レプリカ製作用の鋳型を活用した精巧な出来栄えがSNSで拡散し評判を呼び、今年は遠く九州からのエントリーも。開催時期はバレンタイン直前だが、同館担当者は「考古学の魅力を伝えるワークショップ。バレンタインは意識していない」と大まじめに今年も準備を進めている。

 ワークショップは同館展示の三角縁神獣鏡のレプリカ製作用の鋳型を有効活用し、考古学を体験してほしいと同館学芸員の藤川明宏さん(38)が、2004年の開館後から温め続けたアイデア。試作は失敗続きだったが、お菓子作りが得意な同館ボランティアの黒田智津子さん(福井市)がレシピづくりに協力。12年に「ついに美しくおいしい三角縁神獣鏡チョコが完成した」(藤川さん)。

 翌年2月の初ワークショップは約10人の参加だったが、精巧な出来栄えがツイッターで拡散。全国から反応が寄せられ、14年からは応募多数で抽選参加となる人気ぶり。昨年は定員30人に対し、30〜40代の女性を中心に県内外89人の応募があった。今年も昨年末の募集直後から申し込みが集まり、その半数は県外からだという。

 レシピは年々改良。直径約20センチのチョコに抹茶パウダーを振りかければ、銅のさび「緑青(ろくしょう)」が現れた遺物らしい表面に。製菓用のパールパウダーを塗ると輝きが増し、古代人が手にしていた完成直後の銅鏡のイメージになる。

 藤川さんは「単なるお菓子作りではなく、古代の鋳造技術の追体験。考古資料の機能や用途などを推定する実験考古学の一つ」と、ワークショップの意義を強調する。参加者も銅鏡をたたき割る古代の祭祀「破鏡(はきょう)」に倣い、最後はチョコを割って味わうなど、考古学を楽しんでいる様子。中には八ヶ岳登山にチョコを持参し「山頂で掲げたら晴れ間が広がった!」と、写真を博物館に送ってきた“つわもの”もいる。

 今年のワークショップは2月11、12日で、両日とも午前10時、午後1時、同3時からの各3回。各回定員6人で参加費は千円(材料費含む)。1月22日までに同博物館にメールまたは往復はがきで申し込む。メールはkyoudo@city.fukui.lg.jp


 【三角縁神獣鏡】古墳時代前期の古墳から多く出土している銅鏡。縁の断面が三角形になっている。国内で500枚以上確認されているが、県内で現存するのは2000年に福井市花野谷1号墳から出土し、福井市立郷土歴史博物館に展示されている1例のみ。

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