指定暴力団神戸山口組系の暴力団正木組(福井県敦賀市)の事務所などに昨年2月、銃弾が撃ち込まれた事件で、銃刀法違反(発射、加重所持)の罪に問われている大阪市、指定暴力団山口組系中西組の傘下組員山本敏行被告(39)の公判について、福井地裁は裁判員裁判とせず、裁判官のみでの審理とすることが6日、分かった。

 林潤裁判長は理由について「山口組と神戸山口組は抗争状態にあり、裁判員の生命や身体などに危害が加えられる恐れがある」とした。裁判員裁判対象事件からの除外決定は同地裁で初めて。

 決定によると、裁判員裁判で取り扱った場合、「山口組関係者が裁判員らに接触して働き掛けを行ったり、神戸山口組関係者が法廷の内外で被告に報復したり、両組織の抗争が生じるなどし、裁判員らの生活の平穏が著しく侵害される恐れがある」と判断。裁判員候補者が恐怖感で出頭をちゅうちょするなどし、裁判員の選任が困難だとした。

 昨年5月、特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)系元組員らが裁判員に「よろしくね」などと声を掛け脅したとされる事件を踏まえている。

 起訴内容は昨年2月23日、敦賀市の正木組事務所近くの路上で、山本被告が事務所や駐車中の車に向けて拳銃5発を発射したり、拳銃1丁と実弾10発を所持したとされる。

 福井地検は昨年3月に起訴し、12月9日に裁判員裁判からの除外を請求。弁護側も同意していた。決定は12月19日付。1月12日に初公判があり、裁判官の合議により同18日に判決が言い渡される。

 最高裁によると、全国での除外決定は昨年11月末時点で、福岡地裁5件、同地裁小倉支部6件、岡山地裁1件となっている。12件のうち11件が工藤会関係者らが被告の事件となっている。

 工藤会系元組員らによる声掛け事件後、最高裁は全国の裁判所に再発防止を要請。各地の地裁では、裁判員への接触禁止を傍聴人に口頭で伝えることや、裁判員の送迎などの対策を進めている。

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