運転免許の自主返納者に交付される福井県鯖江市のコミュニティーバス無料証

 高齢ドライバーの事故が後を絶たない中、運転免許の自主返納を考えてもらおうと、福井県内で返納者への支援サービスが増えている。バスやタクシーの運賃を無料にしたり、割り引いたりして移動手段を確保するだけでなく、飲食店など県内約200の業者・団体で料金割引や特典、送迎、商品の配送などを行っている。利用には返納時に発行される免許の申請取消通知書や自治体の証明証などが必要な場合が多く、注意したい。

 福井県鯖江市は福井県内でいち早く、2007年度から自主返納者に対してコミュニティーバスの無料券配布を始めた。当初は1年間限定だったが、段階的に期間を延ばし、13年度からは無期限になっている。市によると利用者の平均年齢は78〜79歳で、約10年間に計777人に配布している。15年度は最多の127人で、16年度も同様のペースという。

 担当者は「自主返納が直接の要因かどうかは分からないが、市内では高齢者の事故が増えていないようだ。今後も団塊の世代が自主返納の多い75歳以上になり、需要が増える」と説明する。

 コミュニティーバスのほか京福バスの一部区間を無料にしている同県勝山市では、期間を無期限にした13年度の申請者が前年度に比べて急増した。まちなか循環バスなどを10年間無料にしている同県大野市の担当者は「通院や買い物の機会が多い利用者の中には、30枚、50枚とまとまった数の回数券を2〜3カ月で使い切って、頻繁に受け取りに来る人もいる」と話す。

 一方、ある自治体の担当者は「コミュニティーバスなどを運行するだけでも赤字。自主返納者に対するサービスを今以上に拡充するには、国や県の財政的な支援が必要」と指摘した。

 福井県タクシー協会の加盟社の多くや同県個人タクシー協同組合は75歳以上の自主返納者の運賃を1割引きにしている。県内約680台の対象車両にはステッカーが張ってあり、乗車時に各警察署などで発行する運転経歴証明書か自治体が発行する自主返納の証明証の提示が必要だ。県タクシー協会によると、15年度に延べ1691件の利用があった。

 福井鉄道は福井、鯖江、越前市在住の65歳以上か免許を自主返納した人で同社のプレミア会員を対象に、500円で1日乗り放題の乗車券を販売している。

 交通以外のサービスも多様化している。美山森林温泉「みらくる亭」(福井市)や健康保養施設「あっ宝んど」(大野市)、しきぶ温泉「湯楽里」(越前市)は入浴料やプール利用料を割り引き。福井県立美術館、福井県立歴史博物館(ともに福井市)など、県の文化施設の多くは常設展の観覧料が無料になる。理容店の送迎や百貨店、スーパーの商品配送といったサービスもあり、役立ちそうだ。

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