ダンス教室で生徒をリードする間もなく100歳の大森良一さん=福井県鯖江市河和田公民館

 長寿の秘訣は華麗なステップ—。福井県鯖江市河和田公民館で社交ダンスの先生を務める大森良一さん=同市=は99歳。1月11日に100歳の誕生日を迎えるが、体の切れは衰え知らずで、優雅に踊る姿は高齢の教え子たちのあこがれの的になっている。

 公民館で月2回開かれている健康ダンス教室。70〜90歳代の生徒たちと並んでマンボのステップを練習した後、ペアになってジルバを踊った。アップテンポな曲にも乗り遅れず、親子ほど離れた生徒を悠々とリードしてみせる。3年前から教室に通う林誠さん(81)=同市=は「大森さんは教えるのも上手だし、ダンスの曲の合間も休まない。いい目標になる」と舌を巻く。

 大森さんがダンスを始めたのは50年ほど前。健康診断でがんの可能性を指摘され、「どうせ死ぬならとことん好きなことをやろうと思った」。以前、旅行先の温泉街で目にしたダンスに魅了され、「いつか自分も」という思いを抱いていた。

 漆器の木地師で職人肌だった大森さんは、「人に好かれる踊りをせなあかん」と社交ダンスの習得にも手を抜かなかった。心を決めてから2年間、福井市でほぼ毎日個人レッスンを受けた。がんではないと分かった後も情熱は増し、県内のダンスホールに出掛けては“武者修行”に励み続けた。

 「社交ダンスはパートナーの心が分かる。心の交わりが楽しい」と大森さん。その魅力を伝えようと、木地師を引退した後、鯖江や福井市の公民館などでダンスを教え始めた。現在は3年前から始めた河和田公民館で地元の高齢者18人を指導する。生徒はいずれも年下。「同級生はほとんど死んでしまって寂しいが、年下のパートナーと踊っていると若返った気がする」と笑顔を見せる。100歳の大台を目前に「動きの激しいタンゴは厳しいが、すべてのジャンルをマスターしている。元気な限りずっと教室を続けたい」。ダンス歴50年の紳士はきりっとした立ち姿で胸を張った。

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