【論説】新幹線と在来線を直通運転できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)について、国は早く北陸新幹線へのFGT導入計画を見直すと判断すべきだ。九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)では、与党検討委員会がFGT導入の断念を決めた。開発の遅れと採算性の低さをみると当然の結果だろう。北陸新幹線への導入も取りやめ、敦賀開業後の利便性向上を考える取り組みに力を入れるべきだ。

 FGT計画は1997年に開発に着手して以来、これまでに約500億円の国費が投入されている。国土交通省などは、北陸新幹線金沢―敦賀が2023年春に開業後、未着工区間の敦賀―新大阪が完成するまでの間、FGTの暫定的な導入を検討している。これは長崎ルートでの運行成功が前提で、北陸新幹線では長崎車両をベースに北陸用に雪対策を施すとしている。

 長崎ルートを巡っては、営業主体となるJR九州が昨年7月、「FGTは特殊な車軸構造のため、一般の新幹線と比較して車両に関するコストだけで年間50億円程度増える。整備新幹線事業の前提である収支採算性が取れず、運営は困難」と表明した。

 このため与党検討委員会が整備の在り方の検討を始め、1年がかりの議論の結果、FGT導入断念を決めた。理由はこうだ。「長崎ルートは、新大阪まで直通することを前提として整備が進められてきた。FGTは最高速度が270キロにとどまり、高速化の進む山陽新幹線への乗り入れは困難」

 この判断は、北陸新幹線への導入に影響するのは間違いない。長崎ルートでの実用化が前提だったため、北陸への導入は極めて難しい状況になった。石井啓一国土交通相は「北陸新幹線について改めて検討する」と述べ、導入見直しの可能性を示唆している。

 FGTについては「柔軟に車輪の幅を変え、かつ高速運行に耐えうるものにするのは想像以上に難しい技術的なハードルがあった」と認めた。国交省は今後の技術開発の在り方を早急に検討する必要がある。

 そもそもFGTは車軸構造が複雑なため、試験車両に不具合が何度も見つかり開発は大幅に遅れていた。難航続きの計画といっていい。国交省によると今後開発を進めても、北陸への導入は最速でも敦賀開業から8年後になる。

 長崎ルート導入断念は、来年度予算案の概算要求でのFGT技術開発費に影響するとみられる。開発のスピードはさらに落ちそうだ。国が北陸新幹線への暫定導入の見直しを示さないなら、FGT計画を排除した議論を、与党を巻き込みつつ地元から始めるべきではないか。

関連記事
あわせて読みたい