【越山若水】きょうの「かき氷の日」にちなみ、山口誓子の佳句を引いてみよう。「匙(さじ)なめて童(わらべ)たのしも夏氷」。微笑を誘われる情景である。けれど、気分はどうも晴れない▼気象庁が会見で「災害と認識している」と述べたのが耳に残っている。22日までの1週間に熱中症で2万人超が救急搬送され、65人が死亡。ひどい数字である▼これを「災害レベル」と形容するのと「災害」と言うのとでは違う。日本で災害とは、地震や津波、噴火、暴風をはじめ豪雨、豪雪などを指す。猛暑は含まれない▼災害対策基本法がそう定義している。なのに気象庁が災害との認識を示した意味は、とても重い。法的根拠があるとすれば法文中の「その他異常な自然現象」の記述。猛暑はやっと、これに該当する▼振り返れば観測史上最も暑い夏と呼ばれるのは2010年。各地で長期間にわたって高温が続き、福井県でも小浜市で10日間も連続して猛暑日を記録した▼注目したいのは、春の時点では冷夏の予想さえあったこと。さらに、7月の終わりごろにいったん猛暑は収まったのに8月は一層暑くなったこと▼この年末に発表された「今年の漢字」は「暑」。書いてみて、そうだった、と思い出した。まだ10年もたっていないのに、記憶はおぼろげだ。この健忘症が一番の大敵だろう。まして、いまは災害の渦中。身を守る決意を固くしよう。

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