3DCGアニメの新たな表現へ挑戦を続ける松浦裕暁さん=東京都杉並区のサンジゲン

 大正時代に日本初のアニメーション映画「芋川椋三玄関番(いもかわむくぞうげんかんばん)の巻」「なまくら刀」が作られて今年で100年。戦後、テレビという活躍の場を得た日本のアニメは独自の進化を遂げ、作品の質・量はもちろん、ファン層の厚さでも他の追随を許さないアニメ大国となった。1年間に制作される新作アニメは200本以上になる。最新技術を駆使する福井県出身のクリエーターに話を聞いた。

 1997年の映画「タイタニック」の波のCG(コンピューターグラフィックス)は衝撃でしたね。まったく違和感がなくて、そこに可能性を感じた。でもアニメ業界を見渡したらほとんど誰もやっていない。これはチャンスだと思った。それでサンジゲンを設立し、世界初の3DCGアニメという分野を打ち立てた。

 最初こそ「CGは違和感がある」など否定的な声があったけれど、次第に肯定的な意見が増えてきました。それは手描きに勝るとも劣らない映像表現ができるから。スローモーションや回り込むカメラワーク。手描きじゃ簡単にはできないこともCGではできる。それが僕らの需要を生んだんだと思います。CGなら映像表現は自由ですから。

 手描きでは(絵が乱れる)「作画崩壊」がある。作画崩壊はCGだと原則起きない。だけど視聴者はその崩れも期待しているんですよ。(生身の)俳優がその都度表情が違うように、その一瞬にしか見えない表情というものも求めている。今のCGではそんな偶然性を意図的に表現できるところまで来ている。「CGなのになぜ表情が崩れるの? でもすごくいい」。そういうのがやっぱり感動を生むんだよなって思う。

 今できている技術は、次第に過去のものになっていく。だからまた新しいものを創りたいですね。視聴者もおそらく新しいものを見たいと思う。世の中で見たことないもの、自分が見て感動したものを表現したい—。そういうマインドがアニメを作ってるんだなって。作り手が強い意志を持っていれば、それがアニメになるんだと思います。

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