ワンマンライブでステージ上を駆け回るアミ~ガス=2016年11月、福井県坂井市のハートピア春江

 「ショッピングセンター(SC)からスタートして、ついにホールまで…」。福井県坂井市のアミを拠点に活動するご当地アイドル「アミ〜ガス」。結成5年でたどり着いた夢のワンマンライブで、福井市の男性(37)は目に涙を浮かべながら最前列でペンライトを振り、女の子たちの成長を喜んだ—。

 昨年11月、坂井市のハートピア春江で開かれたライブには、2回の公演に県内外から約140人のファンが集まった。「推しメン」の名前をコールしたり、振り付けをまねたり…。お約束の「ヲタ芸」も繰り出される。写真撮影や握手会では「最近太った?」「きょうの衣装かわいいね」などと友達のように会話する。この距離感は「ご当地」ならではだ。

 地方に密着して活動するアミ〜ガスは、SCの販促目的に2011年に誕生。メンバーは入れ替わりながら、現在は10代半ばから20代前半までの10人が所属し、広告モデルだけでなく、定期的にSC内でライブを開いている。

 結成当初は「アイドル気取りで」と冷たい目線を送られることもあった。それでも飾らない気さくなキャラクターで少しずつ人気を集めた。2年前にファンになった西端志保さん(23)=坂井市=は「地元の女の子が楽しそうに歌い踊っている姿を見ていると、嫌なことがあってもまた頑張ろうって思える」と目を輝かせる。

 楽曲を手がけるプロデューサーの森永康之さん(42)=福井市=は「彼女たち自身が作ったような素朴さ、未完成さを大事にしたい」という。これまでにCDを3枚リリース。女の子の等身大の姿をアップテンポなリズムに乗せて表現している。リーダーを務める高校2年生みゆうさん(17)=福井県あわら市=は「学校とは違った楽しさがある。いろんな女の子が集まってステージから人に元気を与えられる」と、高いプロ意識をのぞかせる。

 アミ〜ガスから派生したユニットも。3人組の「せのしすたぁ」はアイドル激戦区の東京や大阪で地道にライブを重ね、今では200人規模の会場を満員にする人気ぶり。2人組の「マイガールフレンズ」は、全国ネットのテレビ番組で脚光を浴びるなど県外にも活躍の場を広げている。

 日本ご当地アイドル活性協会(東京)が把握している県内のアイドルは先の3組。同協会の金子正男代表(41)は「福井はアイドル不毛の地ともされてきたが、3組とも実力は全国に誇れるレベル」と太鼓判を押す。首都圏からの交通アクセスが向上すればファンも訪れやすくなり、福井のエンタメシーンはいっそう盛り上がるとみている。

 せのしすたぁのリーダーまおさん(21)=坂井市=は「周りの目が気になり、外出するのも苦手だった」が、アイドルになって自分に自信がついたという。「10年先も20年先も(母体の)アミ〜ガスがあり続け、女の子が成長できる場所であってほしい」と願っている。

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