「核燃料サイクルは必要」と語る金井豊社長=富山市の北陸電力本店

 北陸電力(本店富山市)の金井豊社長は福井新聞のインタビューに応じ、廃炉決定した高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の後継として、高速炉実証炉の開発に国が着手する方針を示したことに関し、「日本にとって核燃料サイクルは、ぜひとも必要」との考えを述べた。6月に再開された原子力規制委員会による志賀原発(石川県志賀町)2号機の適合性審査の進捗状況については「審査再開後、事務局によるヒアリングが4回開かれ、基礎の基礎から議論している段階」とし、「想定以上に時間がかかっている」との認識を示した。

 —今年1年を振り返ると。

 「4月の電力小売り全面自由化など、将来の電気事業に大きな影響を与えることが決まったり、始まったりした1年だった。当社の将来像を含め、やるべきことはある程度できた。ただ志賀原発については、敷地内の破砕帯に活動性がないことを認めてもらえなかった。9月末には2号機原子炉建屋内への雨水流入もあり、新たな課題ができてしまった」

 —志賀2号機の適合性審査の状況は。

 「6月の再開後、ヒアリングが4回開かれたが、敷地内に、もともと議論している7本以外に評価すべき破砕帯がないかどうかを確認している段階。1号機原子炉直下の破砕帯の活動性を指摘した有識者会合の報告書は、現段階で全く議題になっていない。当社が想定した以上に時間がかかっている」

 —2号機原子炉建屋内への雨水流入は、高い安全性が求められる原発の運転主体として疑問符が付きかねない。

 「原子力規制委からは、非常用の電源を喪失する恐れもあった、との指摘を受けた。原発での活動が適切かどうかをチェックする新組織の設置など、26日に提出した再発防止策を徹底して当社の信頼を回復していかなければならない。相当の危機意識を持った対応が必要だ」

 —もんじゅ廃炉を巡る議論を、どう見ているか。

 「核燃料サイクルは日本にとって、ぜひとも必要。回収したプルトニウムは、高速炉で燃やしていくというのが核燃サイクルの最終的な姿。実証炉の開発は必須だ。フランスの高速炉実証炉アストリッド計画の共同研究の話も出ているが、新しい研究開発には当社としても基本的に参加していくべきだと考えている」

 —原発への世論は厳しいが。

 「東日本大震災後の5年半、ほとんど原発なしでやってきたせいもあるかもしれないが、原発は必要ないと考える人が多くなっているように思う。その結果が新潟、鹿児島の知事選や、高浜原発の運転差し止めなど各地の裁判結果に表れてきている」

 —原発の必要性を、どう訴えていくのか。

 「安全性確保は当然だが、環境保全やエネルギーセキュリティー、経済性といった長期的な観点からの必要性も丁寧に説明していく必要がある。日本は天然資源のない国。今は原油価格が落ち着いているから大きな問題にはなっていないが、長期的な観点を忘れてはいけない」

 —4月の電力小売り全面自由化以降、管内の契約切り替えが9700件(11月末現在)となった。

 「当社の低圧の契約戸数は210万件。9700件は、その約0・5%で、沖縄を除く9電力で最も低い。4月以前から自由化されている高圧以上の離脱件数も全国平均が11・3%(8月末現在)なのに対して当社は0・5%(同)。今のところ、自由化に適切に対応できている」

 —首都圏の家庭向け「北陸かがやき契約」の状況は。

 「現在の契約数は980件。目標の千件を間もなく達成できる。周波数の変換が必要なことなどから、千件に限定して売り出したが、問題なく供給できている。今後は制限を設けずにアピールしていく。北陸かがやき契約は、毎月の使用料金が少ない人にもメリットがあるのが特長。幅広い層にご理解いただけるのではないか」

 —「総合エネルギー産業」としての展望は。

 「12月にマレーシアの会社と液化天然ガス(LNG)の売買契約を結んだ。現在、子会社の北陸エルネスを通じ、年間約5万トンのガスを販売しているが、販売に力を入れて近い将来、2倍の10万トンにしたい。建設中の富山新港のLNG基地が完成すると、非常に競争力が出る」

 —昨冬の渇水の影響もあり、今期決算が厳しくなっている。

 「東日本大震災以降、震災前に比べて1年当たり約240億円の経費を削減してきた。今期はさらに約70億円、つまり300億円以上の削減に取り組んでいる。まずは経営の効率化をしっかり進めることが大事だが、志賀原発2号機の再稼働の見通しが立たない状況が続けば、どこかで電気料金の値上げも検討しなければならない」

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