福井地裁判決

 一九九七年に発覚した県のカラ出張問題で、「公務遂行上の経費」を理由に返還されなかった部分について、市民オンブズマン福井のメンバーが栗田幸雄前知事を相手取り、県に返還するよう求めた住民訴訟の差し戻し審判決で、福井地裁の小林克美裁判長は二十七日、「前知事は旅費の不正支出を予見でき、調査を命じていれば阻止できた」などと前知事の指揮監督義務違反を認め、約一億九百八十万円を県に返還するよう命じた。原告側によると、自治体の全庁的、長期的な不正支出にかかる訴訟で、知事(前知事)の賠償責任を命じた判決は極めて異例という。

 被告の前知事側は「これまでの判例などを踏まえたものとはいえず、到底容認できない。控訴の方向で検討する」とした。

 判決理由では、県のカラ出張を「全庁的に長期間にわたり行われ、構造的組織的な問題に起因」と指摘。▽九六年七月の市民オンブズマン全国連絡会議の指摘▽同十二月の自治事務次官通知の注意喚起—などで「前知事は遅くとも九六年十二月ごろにはカラ出張を予見でき、不正支出を防止できた」とし、原告側の主張を踏まえた判断を示した。

 事務的経費や慶弔費といった「公費への流用」については「虚偽架空の会計処理で行った支出は当然に違法。予算執行は目的に従って行われるのが原則で、流用は許されない」と退けた。

 同地裁は、最高裁が認めた住民監査請求の対象期間(九七年八月十七日—十二月)について前知事の過失を認めた上で、返還額は九七年四月—十二月の不正支出約二億二千万円のうち、八月十七日以降の日数で日割り計算して算定した。