緑内障の進行が遅い例、早い例の視野検査結果

 国内の失明原因の1位にあり、徐々に視野が欠けていく「緑内障」。福井県済生会病院(福井市)の新田耕治眼科部長、金沢大医学系眼科学の杉山和久教授らでつくる研究チームが、緑内障患者の将来の見え方を予測する方法を確立した。研究グループによると、緑内障患者の約7割を占める「正常眼圧緑内障」の予測モデルとしては国内初となる。2018年をめどに同病院、金沢大附属病院での実用化を目指している。

 40歳以上の20人に1人がかかっているといわれる緑内障は、目の奥の視神経が傷むことから起こる。視神経が傷む原因はこれまで、目の中の圧力(眼圧)が高くなり、視神経を圧迫することによるとされてきたが、近年では眼圧が正常でも視神経が弱いと緑内障になるケースが非常に多いことが分かってきた。眼圧だけで早期に診断するのは難しく、進行スピードも個人差が大きい。

 金沢大の学外臨床教授も務める新田部長と杉山教授ら6人は、09〜15年の間に県済生会病院で治療した312例498眼の緑内障に関する検査データを基に、進行のスピードを短期間で予測できる仕組みの開発を進めた。緑内障に関するさまざまな項目の中から、眼圧がどの程度下がったか、視神経の傷み具合など、進行スピードに影響する四つの項目を使えば予測できることを見いだし、予測式を完成させた。

 患者の検査データを式に当てはめることで、将来の見え方の変化をある程度予測することができるようになる。通常、進行のスピードを判断するには3〜5年の経過観察が必要だが、半年から1年にわたる数回の診察で可能になり、早期治療につなげられる。眼圧を下げる治療をした場合としない場合の予測も可能になるという。今後は予測式の検証を重ね、より精度を高めていく。

 初期の緑内障は自覚症状があまりなく、気づかないことがほとんど。放置している人も多く、気づいたときには病状が進んでいるケースが目立つという。多くの場合、適切な治療により進行を抑えられるが、長期の通院が必要となる。

 新田部長は「進行が速いか遅いかを見極めることができれば、遅い人はたびたび通院しなくてよく、効率的な受診が可能になる。進行の速い人にはより強い治療を勧めるなど、個々人に合った治療ができる」と意義を語る。杉山教授は「進行予測を示すことで、患者の治療意欲も高められる」と話している。

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