「地元の伊達直人」を名乗り児童養護施設にランドセルなどを贈っていた男性。「支援する運動が再び盛り上がってほしい」と話す=大野市内

 「善意の運動が再び盛り上がってほしい」−。漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」名で全国の児童養護施設にランドセルが届いた現象を受けて、2011〜13年に福井県大野市内の養護施設にランドセルや図書券などを贈った市内の男性(34)が、取材に応じた。過去の苦しい境遇を打ち明け、「逆境にある子どもにも目を向けるのが大人の役割」と思いを語った。

 タイガーマスク現象の発端となったとされる前橋市の会社員河村正剛さんが7日、正体を明かし話題となった。報道を見た男性は「名乗り出るのは勇気がいることだろうが良かった。支援の広がりを望むのは自分も同じで、行いを明るみに出そうか考えていたところだった」と共感した。

 男性は3歳で脳血管性の難病にかかり、大阪の病院で手術を受けた。その後遺症で体に障害がある。小中学校ではいじめに遭った経験も。浴びせられた暴力や罵声は今も忘れられない。しかし、苦労をしてきたからこそ「悔いが残らない人生を」と強く生きている。

 タイガーマスク現象を知った時、すぐに賛同した。11年1月、同市の「偕生慈童苑(かいせいじどうえん)」に入所している子どもたちのためにミニカーやぬいぐるみなどをプレゼント。「君たちにも絶対に光が差すよ、だから頑張れ、と伝えたかった」という。

 その後も支援を続け、同年3月に図書券、12年1月にランドセル2個、13年1月にはおもちゃと交換できる「こども商品券」を贈った。

 毎回、自筆の手紙で「サクラは必ず皆一人一人の上に咲く」「今年も君達を見守っていますよ」などと励ましの言葉を添え、差出人は「地元の伊達直人」とした。

 14年以降はタイガーマスクになぞらえた寄贈はしていないが、福祉施設などへの寄付を続けている。

 「日本では格差が広がり二極化しているけれど、子どもに罪はない」。地域の大人が子どもを守り育てる社会になることを願う。

 ■タイガーマスク現象 2010年12月、前橋市の児童相談所に漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」名でランドセルが届いたことが発端となった。その後、全国の児童相談所や養護施設にランドセルや文房具、現金などが相次いで届いた。

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