アート作品に姿を変え、今も残るナホトカ号の船首=福井市深見町

 ロシア船籍のタンカー「ナホトカ」が沈没し、船首部分から流出した大量の重油が日本海沿岸を汚染した事故から間もなく20年を迎える。福井県三国町(現坂井市)沖に漂着した船首の一部がアート作品として、今も福井市のギャラリーの庭先に飾られている。経営する男性は「事故を憂い、義援金を送った人や、駆け付けたボランティアらの心を表現した作品」と話している。

 展示しているのは、同市深見町の髭分真二さん(64)。国内最大の重油汚染事故をアートとして残そうと、事故があった1997年の6月、同船を解体していた広島県の企業から購入。一つ10トン余りの部材八つを福井まで運んだ。

 アート作品群は「ナホトカ」と名付けられた彫刻やインスタレーションなどで、中国・上海の現代美術作家、胡項城さんが制作した。長さ10メートルを超える鉄板に人型を描いたものや、喫水線とみられる数字が書かれた部材を大胆に配置した作品、切断した鉄板を組み合わせた彫刻が並んでいる。

 当初は、親交のあったジャンクアートの巨匠、故小野忠弘さんに作品制作を依頼した。小野さんは制作に着手したものの完成はしなかった。その約2年後、胡さんに制作を依頼したところ、同船が上海の港を出た後に起きた事故であることから引き受けたという。

 髭分さんは、「事故は国際的な環境問題。一方で全国から駆け付けたボランティアが素晴らしい活動を見せた。福井県民として、これらの人の心を忘れてはいけない」と話す。作品の表面には当時の塗料が残るが、さびも目立ち始め20年の歳月を感じさせる。

 事故から10年がたった2007年、髭分さんは福井市美術館などで、現代美術作家の作品を集めた企画展「地球の洗い方」を開いた。「間もなく事故から20年。福井に住む人間として何かしなければ」と来年の早い段階で、ナホトカ号の船首作品が残る自宅のギャラリーで節目の展示会を予定している。

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