福井県が想定する小浜・京都ルートの財源

 「北陸新幹線小浜・京都ルートについて、国は2030年度末の北海道新幹線札幌開業後の着工を想定している。一方、福井県は札幌開業より早い完成を求めている。このギャップが財源問題の厳しさを如実に表している」。12日の県議会新幹線対策特別委員会で、笹岡一彦委員(無所属)が理事者に財源確保の見通しと戦略をただした。豊北欽一新幹線政策監は「新規財源が決まっていないため、国は31年着工と想定せざるを得ない。工期も過去の例から15年となっている。議論を尽くし、縮めていくべきだ」と力説した。

 国の想定通りなら完成は約30年後の45年。だが北陸新幹線金沢—敦賀と同時に整備し、工期を10年に縮めれば、札幌開業より早く完成する。

 小浜・京都案の建設費は国土交通省の調査で2兆700億円とされた。早期整備に向け、県が政府与党に訴える財源確保策の柱の一つがJRが開業後に30年間支払う新幹線施設使用料(貸付料)だ。

 新幹線を建設する鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、JRから将来支払われる貸付料を担保に民間から資金調達し、建設費の一部に充てている。工事を早く完成させるためのいわば前借りだ。建設中の北陸新幹線金沢—敦賀など3線の整備には約8千億円の資金調達が必要だが、低金利の財政投融資に切り替えたことで金利負担が約3千億円少なくなる見通しとなった。

 金沢—敦賀の建設費の半分は貸付料。この割合を敦賀以西の建設費に当てはめると、1兆350億円がいる。財政投融資の金利負担軽減で生まれた差額約3千億円が充てられれば、残りは7350億円。この残額を貸付料の支払期間30年で割ると、長野—金沢の貸付料と同じ年245億円になる。

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 貸付料は開業直前に確定するため、敦賀—新大阪の貸付料の算定は今後の議論となるが、金沢—敦賀は年102億円と推定されている。敦賀—新大阪の貸付料について県が主張するのは、既に開業した区間が受ける恩恵(受益)が増える分を反映させた上での前倒し活用。県新幹線建設推進課は「北陸と関西が新幹線でつながることで、例えば長野と京都、新大阪を往来する乗客増が期待できる。開業が早ければ早いほど、効果が大きく表れる」と説明する。

 もう一つは、既に開業している北陸新幹線高崎—金沢や東北新幹線盛岡—新青森など4線の貸付料算定期間の30年間延長だ。鉄道施設の改修や更新費用が増えることを考慮し、30年目までの額の半分と想定しても1兆円が見込めるという。同課は「14年の政府与党ワーキンググループ協議では、貸付料の延長に含みを持たせるJRもあった。不可能ではない」とみている。

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 最大の壁は国費だ。建設費の半分が貸付料で充てられた場合、地元負担を除き6900億円が必要。工期10年なら年690億円で、30年度末まで年755億円の国費に上乗せし、1400億〜1500億円に倍増しないと、北海道新幹線札幌開業より早い新大阪までの完成は不可能だ。

 公共事業費に占める整備新幹線の国費はわずか1%。豊北新幹線政策監は「金沢開業で整備新幹線は優良な公共事業であることがあらためて証明された」とし、「JRの法人税はこの5年で2倍に増えた。国費を倍増し、早く新大阪までつなげることが国民の利益になる」と強調する。

 ■貸付料とは 整備新幹線を運行するJRが、線路などの鉄道施設を所有する鉄道建設・運輸施設整備支援機構に支払う使用料。整備新幹線が建設された場合と、されない場合の収益差の範囲内で、開業後30年間負担する。現在は年694億円に上り、北陸新幹線金沢−敦賀など建設中の区間が開業するとさらに増える。東海道、山陽、上越新幹線などはJRが施設を所有しているため、貸付料が発生しない。

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