関電 将来わたり支援

 二○○四年八月の蒸気噴出事故以来、運転を停止している美浜原発3号機の年明け運転再開に向け、関西電力が遺族に対して将来にわたる支援を約束した文書を渡すなど、働き掛けを強めていることが十七日分かった。同日には、美浜発電所正門近くに建設していた献花台を収める建物が完成し、森詳介社長や遺族が出席して献花式を行った。

 関係者によると、文書は先週、関電の担当者が森社長名で五遺族に個別に渡した。遺族への将来にわたる関電の心構えや対応が紙三枚につづられている。具体的には子供の進学や就職、遺族が働きたい場合に相談に乗ることなどが書かれている。こうした社長名の文書が遺族に出されたことはこれまでなく、一月中旬を目指すとしている運転再開に難色を示している遺族の理解を得たい意図があるとみられる。

 遺族の中には「誠意を示そうとしている」と受け止める人がいる一方で「文書の中身はこれまで担当者から聞いてきたことばかり。意図が分からない」と話す人もいる。

 同日行われた献花式には、事故で亡くなった五人の遺族や負傷者ら関係者四十五人が招かれ、関電からは森社長ら幹部二十六人が出席。「遺族の意向」(関電)を理由に、報道関係者には非公開で行われた。

 出席した複数の関係者によると、建物は同発電所正門西側の「安全の誓い」の石碑に隣接する緑地帯にあり、四—五メートル四方の平屋建て。五人分の花を個別に供えられる石台が設置され、夏でも花が枯れないよう空調が完備されている。外には五人の名前を彫った金属製の碑板があったという。

 森社長があらためて事故の謝罪と再発防止に向けた決意の言葉を述べ、出席者一人一人が献花台に花を手向け、故人のめい福を祈った。

 関電によると、献花台は事故後、タービン建屋二階の事故現場付近に仮設置されていた。同建屋は、高温蒸気が通る配管があるため通常は立ち入り制限区域となっている。関電は遺族の意向を踏まえ、献花台の移設場所などを検討。恒久的に遺族らが出入りしやすいよう、献花台を備え付けた建物を新設した。今後、美浜発電所が管理していく。

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