整備新幹線の着工5条件

整備新幹線建設の仕組み

 長年の懸案だった北陸新幹線敦賀以西ルートは14日、福井県の求める小浜・京都案で事実上決着した。だがルートが決まってもすぐ着工できるわけではない。整備新幹線の着工5条件のうち、JR西日本の同意は見通しが立ったものの、肝心の財源議論はこれから。並行在来線も不透明だ。沿線の滋賀県、京都府との調整もある。2030年度末の北海道新幹線札幌開業より早い全線開業の実現は、主に三つの課題をどう克服するかが鍵になる。

 最大の壁として立ちはだかるのが、安定的な財源見通しの確保だ。政府与党は、整備新幹線に充てる国費を30年度末まで毎年755億円と決めており、北陸新幹線金沢—敦賀などの建設中の3線に使うことで合意している。つまり、敦賀以西の新規財源はまだ何も見通しが立っていない。

 与党内からは、早くも敦賀—京都、京都—新大阪の2段階整備を模索する声が出始めている。「財源が足りないから、どこまでを整備するのかという議論になるだろう。京都止まりもありうる。京都から東海道新幹線の線路と共有できないかという案が浮上する可能性もある」とは与党PTメンバーの一人。「これからいろんな問題が出てくる。一難去ってまた一難だ」と財源議論の厳しさを見通す。

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 整備新幹線のルートと似た区間を走る並行在来線は「第二の国鉄をつくらない」との理由でJRから経営分離することが原則だ。分離した後は第3セクターなどが引き継ぐことになるため、沿線自治体の同意が着工5条件の一つに含まれている。

 JR西の来島達夫社長は11月16日の定例会見で、小浜・京都案に決まった場合、どの路線が並行在来線になるかについて明言を避けた。

 福井県は「並行在来線は、優等列車(特急)が新幹線に移る区間」との旧運輸省の見解を踏まえ、「小浜線は該当しない」とみている。

 もし湖西線がその対象になれば、新幹線が通らないにもかかわらず、滋賀県の沿線自治体が第3セクターで引き継ぐ可能性があるため、同県の三日月大造知事は「容認できない」とのスタンス。調整が難航すれば、工事実施計画を認可できずに着工時期がずれ込む恐れは否定できない。

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 京都府の負担も課題だ。小浜・京都案の建設延長約140キロのうち、京都府を走る距離は本県より長く、その分だけ建設費も大きくなる。しかも大半がトンネルで、小浜—京都の途中に駅は設けられない見通し。山田啓二知事は与党検討委などで「トンネルや橋があるだけで地元に負担を求めるのはおかしい」「府民の便益に対して負担が重すぎる」と難色を示している。

 北陸新幹線の整備を巡っては以前、新潟県と国土交通省が工事に関する情報公開や新潟県内の駅の停車頻度などを巡って対立。泉田裕彦前知事が地方負担に異議を唱えて予算計上がずれ込んだことがあり、今回も憂慮する声がある。

 「ルートが決まった後からが本当のスタート。新規着工の財源確保や並行在来線、中京圏へのアクセス向上、敦賀駅での乗り換え利便性確保など数えれば切りがないほど課題が山積している。戦略を立てて取り組むことが必要だ」。8日の県会総務教育常任委員会で仲倉典克委員(県会自民党)はそう力を込めた。

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